シングル段取りへの挑戦【1/6】

シングル段取りへの挑戦【1/6】

6回のシリーズで「シングル段取りへの挑戦」を掲載します。

 古くて新しい課題─「シングル段取り」は製造現場で常に追求されてきました。とくに近年、市場の要求により多品種少量生産が主流となり、「1回あたりの段取り時間を短縮し、段取り回数を増やすこと」がますます求められています。しかし、やみくもに進めようとしてもうまくいきません。シングル段取りを達成するためには、そのための“段取り”(手順)が必要なのです。
 本特集では、シングル段取りに向けた段取り改善の基本的な手順、方法、着眼点について、7ステップ展開による進め方を解説します。本特集を参考に、ぜひ皆さんもシングル段取りに挑戦してみてください。

段取り替えの基本的な考え方

なぜ段取り替えが必要か

 多様化している現在において、どこの現場でも多品種少量はとくに驚くことではなく、あたりまえのようになっています。
 生産現場では、在庫低減やリードタイム短縮のために、生産ロットが小さくなる傾向はこれからも続くと考えられます。それに伴って、段取り替えの回数の増加は免れないでしょう。したがって、段取り時間の短縮は避けて通れない課題です。
 段取り時間短縮の方法は、以下のように大きく2つあります。
① 段取り回数の減少
②1回あたりの段取り時間の短縮
 この2つのうち「段取り回数の減少」は、今の市場の傾向からみてもむずかしいでしょう(割込み生産の防止や適正生産ロットの設定など、やれることもありますが)。そこで、必然的に残るもう1つの方法である「1回あたりの段取り時間の短縮」が、製造現場ではますます求められてきます。
 そこで、シングル段取りに前向きにチャレンジしてほしいと考えます。

段取り替えとは

 「段取り」の意味を辞書で調べてみると、“うまく事が運ぶように、前もって手順をととのえること”とあります。
 段取り時間とは、現在生産しているワークの生産終了時点から、次の異なるワークへの切替え、調整・試し加工を行い、完全な良品の1個目ができるまでの時間と定義します。
 すなわち、段取り改善とはそれらの時間を短縮するために、必要なものを事前に準備するとともに、間違いなく・早く行えるよう作業の手順を考えることです。

シングル段取りとは

 シングル段取りとは、段取り時間を1桁(シングル)分で行うことをいい、「10分未満の段取り」のことを指します。
 最近では、この10分未満をさらに短縮し、ゴルフのシングルプレーヤーにかけて、シングル段取りも81秒以内が目標であるともいわれています。
 ここでは皆さんの現場の段取りの内容および段取り時間に合わせて、10分以上であるならばシングル分を、10分未満ならば81秒を目標に進めていけばよいでしょう。

コラム:シングル81秒を目指すワケ
 通常、ゴルフは18ホールで競われ、バーディーやボギーを入れて72打で回ればパープレイとなります。ハンディキャップが9の、いわゆるシングルプレイヤーは、18ホールを72打プラス9打の81打で回ることができる人ということになります。かなりの実力者の証しです。
 このことから、シングル段取りの“シングル”も、このゴルフのシングルプレイヤーにならって、従来の10分未満から81秒へと目標が高くなりました。

シングル81秒を目指すワケ

著者プロフィール

インテリジェントメンテナンスセンター
センター長 チーフ・コンサルタント
鐘ヶ江 克則(かねがえ かつのり)

大学卒業後、電気メーカーの生産技術者を経てJMACのコンサルタントに。生産戦略、生産方式、設備管理を専門領域とし、国内・海外の製造業において生産性改善、コストマネジメント、不良削減、在庫削減、リードタイム短縮など数多くのプロジェクトを支援。現在、高度設備保全技術の研究および設備保全業務のDXについて取り組んでおり、関係執筆も多数。