シングル段取りへの挑戦【2/6】

シングル段取りへの挑戦【2/6】

段取り改善へのステップ(1ステップ)

 ここでは、シングル段取りに向けた段取り改善の基本的な手順、方法や改善の着眼点について、改善のステップに沿って説明していきます。
 TPMでは段取り改善について、図表—1のような7ステップが用意されています。この7ステップを基本的な手順として、ステップごとに検討すべき内容をよく理解し、実施することが大切です。
 手順どおりに忠実に実施すれば、シングル段取りも夢ではありません。

図表−1 段取り改善の7ステップ

図表−1 段取り改善の7ステップ

1ステップ:現状把握

(1) 段取りロス時間の実態把握

 段取りの現状把握は、段取り作業によるロス時間を正確に把握することから入ることを勧めます。なぜなら、悪さがわからない状態では、改善をする意欲もわいてこないからです。
 そこで、段取りは付加価値を生んでいない“ムダ”であり、実際に段取り時間がどれだけの“ロス”を生んでいるか、その大きさを認識し、段取り改善の必要性を実感してから改善に取りかかりましょう。

(2) 段取り作業の調査

 実際の段取りロスの実態を認識し、そのロスの大きさを実感したら、改善しない手はありません。とはいえ、すぐに思いつきで動いても期待した結果は出ないと思われます。思いつきの部分改善とならないよう、はやる気持ちを抑えて改善の課題となるものをきちんととらえることが肝心なのです。
 そこで、実際に改善を行う前に、必ずその作業内容の分析を行います。
 この調査内容を見ながら、3ステップ以降で、1つひとつの作業の中身を見直し、改善案の検討・立案を行います。段取り改善の善し悪しは、この分析の良否で決まってしまうので、手を抜かずにとりかかりましょう。段取り改善にも“段取り(準備)”が重要なのです。
 段取り時間の調査は、作業を行う作業者の作業内容を、その手順ごとに所要時間を計測し、図表—2のような表を使って、見えるように整理します。

図表—2 段取り作業調査表(例)

図表—2 段取り作業調査表(例)

 1つの手順に時間がかかるような場合は、その内容をさらに要素作業に分解し、作業の内容をより細かく把握することが必要です。
 最近では、ビデオカメラが普及しているので、段取り作業をビデオで撮ることを勧めます。ビデオを利用すると、繰返し確認できるほか、スロー再生やコマ送り再生により詳細な分析が可能になり、チームで改善案を検討する場合にも便利です。

(3) 作業内容を段取り区分で分ける

 調査した段取り作業内容から改善課題を抽出するために、作業内容を図表—3のように「ムダ」「内段取り」「外段取り」の3つに分類します。

図表—3 1ステップと段取り時間の推移

図表—3 1ステップと段取り時間の推移
① 現状の作業内容からムダ作業を見つける

 まずは、作業内容から「ムダ」を見つけていきましょう。ムダ作業を見つけるポイントは、「探すムダ」「移動・運搬のムダ」に着目することです。

●POINT ムダ作業は人の動作の「探す」「歩く」に着目する

 「探すムダ」とは、段取り替え作業の中に、治具や工具、部品、条件表などを準備するための「探す」時間です。この探す時間は必要のない作業であり、「ムダ」だといえます。
 「移動・運搬のムダ」は、「探すムダ」とともに発生する場合のほか、治具・工具、部品を運搬する際に発生する場合、交換・調整作業の際に発生する場合などがあります。
 ここで発見したムダ作業は、3ステップで徹底的に排除していきます。

② 現状の作業内容を内段取りと外段取りに分ける

 続いて、残る作業内容を内段取りと外段取りに分けていきますが、内段取り、外段取りという特定の段取り方法があるわけではありません。
 段取り作業には、設備やラインを止めて行う内段取りと、設備やラインを止めないで行う外段取りがあります。
 つまり、ラインの停止時間を短くすることを第一に考えれば、段取り時間の中における内段取りの時間を短くすることで、段取り時間そのものが短縮されます。そのためには、まず現状の内段取りで行っている作業を、極力外段取りにもっていくことを考えます。
 そして、現状作業のどの作業を内段取りで行っていて、どの作業が外段取りなのかを明確にしておく必要があります。

(4)  作業内容を作業区分で分ける

 段取り作業内容をさらに層別すると、以下の3つの作業区分に分けられます。
 ① 準備・片付け作業:段取り作業における準備作業、片付け・清掃作業と観測時に気づいたいろいろなムダ作業を集めたものとします。
 ② 交換作業:取外し、取付け作業を集めたもので、型・治具・工具・製品の交換などです。
 ③ 調整作業:位置合わせ、基準設定、検査、試し加工、調整作業を集めたものです。ここでのポイントは、試し加工や検査は、1回だけは必要なものと認めますが、2回目以降はムダと判定することです。
 
 段取り作業内容を3つの作業区分に分けたら、図表—4のような段取り区分とのマトリクスをつくり集計します。

図表—4 段取り作業時間のまとめ

図表—4 段取り作業時間のまとめ

著者プロフィール

インテリジェントメンテナンスセンター
センター長 チーフ・コンサルタント
鐘ヶ江 克則(かねがえ かつのり)

大学卒業後、電気メーカーの生産技術者を経てJMACのコンサルタントに。生産戦略、生産方式、設備管理を専門領域とし、国内・海外の製造業において生産性改善、コストマネジメント、不良削減、在庫削減、リードタイム短縮など数多くのプロジェクトを支援。現在、高度設備保全技術の研究および設備保全業務のDXについて取り組んでおり、関係執筆も多数。