エフは荷札じゃありません 連載第7回

たとえば、あなたが設備の不具合を発見したとします。では、その後どうしたらいいでしょうか。まず、その不具合が、どんなときに、どこで起きていて、どのような不具合なのかをほかのメンバーにもひと目でわかるようにしなければなりません。また、自分たちで復元できるものなのか、専門の保全員に修理を依頼するものなのかの区別もつけておく必要があります。そんなときに役に立つツールがエフです。エフを付けて、不具合の個所や内容を把握し、エフを取ることで適切な処置をします。「エフ付け・エフ取り」はTPMでは欠かせない活動です。

ここがポイント!

エフは不具合の見える化

 エフ(絵符)は、一見荷札のような札ですが、荷物に付けるものではありません。エフは、
・どこにどのような不具合があるかをわからせる
・その不具合の処置漏れを防ぐ
といった目的で設備に付けられるものです。
 その際、エフには①日付、②発見した人の氏名、③不具合の内容を記入します。このことを「エフ付け」と言います。いわばエフは「ここに不具合があるゾ。はやく直せ!」と訴えかけるツールであり、不具合の“見える化”の役割を担っています。

赤エフと白エフ

 エフには赤エフ白エフの2種類があります。不具合を誰が処置するのかを色で区分しているのです。つまり、
・赤エフ:専門保全員や技術スタッフでないと処置できない不具合
・白エフ:オペレーター自らが処置できる不具合
といったように、不具合のレベルに応じて使い分けられています。

エフ付け(不具合発見)の手順

 エフ付けの手順としては、
① まず五感を働かせて外観を中心に
② 次に部分的に分解して
③ さらに測定器が使える環境なら測定器を活用して
不具合を見つけます。
 そして、安全を確保した上で設備が動いている状態で不具合を見つけてみてください。そうすることで、振動、異音、発熱の状態や作業上の問題点などが見つけられます。

不具合発見のポイント

 実際に不具合を見つけるには以下のような点に注意してみましょう。
① 微欠陥(潤滑系統、駆動系統、空圧・油圧系統、電気・制御系統、治具・測定具類などに分類してみていくと発見しやすい)
② 発生源個所(汚れ・漏れ)
③ 困難個所(清掃・給油・点検作業、切替え・調整)
④ 不安全個所
⑤ 不要品、不急品

白エフ取りに必要なスキル

 不具合の見える化としてエフを付けたら、次は取らなければいけません。これを「エフ取り」と言います。エフを取ることとはすなわち不具合を処置することです
 したがって、白エフを取るにあたっては、オペレーターは処置するスキルを身につけておかなければなりません。以下はその習得方法の代表例です。
・ フィルター洗浄、テンション調整、配管の引き直し、部品交換、給油作業は、その知識と技能を専門保全員から教えてもらう
・ 定期点検や計画修理の際に立ち会うことで、その手順・方法を覚える
・ 切断、溶接、タップ立て、曲げ加工など、改善ツールを製作するスキルを習得するための機会や場所を設けて、教育を行う

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