【第11回】ECRSでバレンタインデーを改善
同じ製品を大量につくる時代から、1つのラインでさまざまな品種を少量つくる多品種少量生産が当たり前となってきました。もちろん、つくる品種によって使う工具もワークも設備の調整も違ってきます。そこで、ある品種から別の品種の生産に移行するとき、準備や段取りが必要となってきます。その段取り替えの時間が長ければ生産性は下がり、短ければその分生産性は上がります。段取り改善とはそれらの時間を短縮するために、必要なものを事前に準備するとともに、間違いなく・素早く行えるよう作業の手順を考えることです。
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●3ステップ:ムダの排除
1ステップで段取り作業ごとの時間を計測し、2ステップで目標を設定したら、3ステップでは「ムダの排除」を行います。では、実際に何をどうやってムダを排除したらよいのでしょうか。
その有効な手段がECRSです。これは、「ムダの排除」だけでなく、段取り改善のその後のステップや別の改善活動を行う際にもポイントとなるので、いっしょに覚えておきましょう。
●Eliminate:やめられないか(排除)
ここでは「探すムダ」「移動・運搬のムダ」に着目してみましょう。
まず「探すムダ」の排除ですが、その基本的な考え方は、「5S」「3定」「表示」の徹底です。
「5S」に関しては、ここではとくに「整理」「整頓」を徹底して行いましょう。「整理」とは、必要なモノと不必要なモノを区別すること。「整頓」は、探す作業をなくすことです。「整理」によって不要品が一掃された後、「整頓」をすることで機能的な保管を行います。たとえば、よく使うものは身近に、使用頻度が低いものは順次遠くに置くとよいでしょう。
「3定」とは、「定位」「定品」「定量」の略で、段取りで使用する物を、どこに、どのように、いくつ置くかということをルール化することです。そして「表示」によって、その物が何であるかを誰にもわかるようにします。色分けして分類するのもひとつのアイデアです。
これらを実行することで、段取り作業が行いやすいように身の回りの環境をつくり、「探すムダ」を排除できます。
「移動・運搬のムダ」の排除は、治具・工具、部品の移動や運搬はそのつど行なうのではなく、一度に運搬できる専用台車を作成するといいでしょう。
●Combine:組み合わせられないか(結合)
ここでは、分散して行っていた作業を、1ヵ所に集中させて行うことがポイントとなります。代表例として以下のようなものがあります。
- 電気配線の集中化
- 冷却配管の集中化
●Rearrange:入れ替えられないか(置換)
段取り替え改善における「Rearrange」は、設備を停めて行う「内段取り作業」を、設備を停めないで行う「外段取り作業」に置き換えることを主眼に考えてみましょう。
- 次のワークや容器の準備
- 測定具の準備
- 設備・治具の調整
などを事前にできないか、といったことがポイントとなります。
また、「調整」を「調節」に換えられないかという視点も有効です。「調整」とは作業者の経験やコツによって手作業で行う位置合わせで、位置のバラツキが発生しやすいもの。「調節」とは自動的・半自動的な位置合わせで、位置のバラツキはほとんどありません。具体的には「目盛り合わせをブロック突当て化にする」といった方策があります。
●Simply:簡単にできないか(簡素化)
金型や取付け具の交換には、必ずボルト類のゆるめ、締付けが伴います。これらの作業をワンタッチ化、クイックチェンジ化することに着目してみましょう。たとえば、
- カムクランプ機構の応用で、ボルト・ナットによる締付けをなくす
- 配管配線などのコネクターをクイックチェンジコネクターにする
といった方策があげられます。
本記事は『月刊TPMエイジ』2008年2月号からの転載です