【第2回】故障ロスの金額評価

 ここでは、故障ロスの悪さ加減を金額で評価してみましょう。故障ロスは、時間や件数、総合効率や稼動率などによって表現される場合が多いでしょう。しかし、金額で把握すれば、改善の効果や有効性をよりはっきりと確認することができます。

 一般に、故障による機会損失と加工費(経費+変動費)の損失が故障ロス金額といわれます。機会損失は、故障ロスにより納期遅れなどが発生し、売上減につながる場合のロスです。また加工費は、故障による対策費用や故障による停止時間でムダになった時間ロスを労務費で換算して算出します。

 算出ルールは、各企業で設定することが望ましいですが、実際的には、以下の例を参考に算出してください。なお、メンテ費用については、故障ロスではなく予防コスト(保全ロス)として算出しましょう。

【金額換算の例】

 たとえば、あるラインで1日に60分停止したとします。3人の担当オペレーターがいる場合、60分×3人×@チャージレートで算出します。

 ここでは、停止によって3人分の作業時間がムダになったと見立てます。実際は、停止すればオペレーターは復帰まで他のライン支援をしたり復帰を手伝う場合もあり、作業時間がムダになっていないという見方もありますが、故障ロスとしてのカウントを作業時間で代用するため、上記のルールで算出するようにしてください。あとは、対策費用や不良損失などが発生していればそれを加えてください。

 図にロスコストマトリックスの例を示します。

ロスコストマトリックスの例

ロスコストマトリックスの例


故障ロス金額
 =停止ロス金額+故障対策費用+故障による不良ロス+加工費+その他
 =停止時間×@+(部品代+修理費用)+数量×@+残業工数×@その他:納期遅延ペナルティ費用など(かなり大規模な停止の場合)

上記算出は、機会損失(売上げ減)を見込まない場合の算出方法


次回は故障ロス改善のアプローチを解説します。

この記事は『「故障ロス改善」はこうやれ!』(JMAC刊)をWEB用に再編集したものです。


■著者について

大塚

大塚 寛弘 (おおつか のぶひろ)

日本能率協会コンサルティング
生産コンサルティング事業本部トータルコストマネジメントユニット
プロセス・デザイン革新センター
兼 設備管理イノベーションセンター チーフ・コンサルタント

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