【第3回】故障ロス改善アプローチ
ここでは、故障ロス改善の手順について説明しましょう。
故障ロス改善には大きく2つの攻め方、アプローチがあります。
- 再発防止:いうまでもなく、発生した故障を再発させないようにする
- 未然防止:故障になる前に処置する(まだ発生していない故障も、それを予見し対処することを含む)
どちらも重要な考え方です。
これを理解しやすくするために「故障は氷山の一角」という絵を使って補足します。安全でいうハインリッヒの法則と同じことです。下図のように、
- 上から出る➡結果からのアプローチが再発防止
- 下から出る➡要因からのアプローチが未然防止
と位置付けます。
両方向からのアプローチによって、故障の氷山を小さくする、またはなくすことが故障ロス低減につながります。このように、故障ロスをなくすためには、結果そのものからアプローチだけでなく、要因をつぶすアプローチも必要不可欠です。
下図に各アプローチと活動のフローをまとめます。また、それぞれのアプローチの具体的な手順として、さらにその下の図のとおり、いくつかの活動ステップを適用しました。進め方の参考にしてください。
❶改善の進め方:QCストーリーを基本としたベーシックな進め方。迷ったらこれ
❷故障ロス改善ステップ:故障ロス全体をとらえて、体系的に改善する進め方
❸自主保全ステップ:設備の基本条件整備からスタートし、設備の総点検を実施する
❹基本条件整備ステップ:5Sをベースに小集団活動の定着もねらいとして進める取組み
なお、どのステップを採用するかは、次の視点を参考に選定してください。これらの視点とステップの関連を下図に整理しました。
①故障ロスの優先度:故障ロス改善の必要性や優先度の高さを意味する
➡ロスが大きければ、それに特化した取組みが必要となります。
②管理職・スタッフの支援レベル:管理職やスタッフの技術レベルや管理レベルを意味する
➡高ければより高度な取組みが可能となります。
③オペレーターの改善レベル:現場オペレーターの改善スキルを意味する
➡改善スキルが低い場合は基礎的な取組みからのスタートです。
次回はこの改善ステップについて解説します。
この記事は『「故障ロス改善」はこうやれ!』(JMAC刊)をWEB用に再編集したものです。
■著者について
大塚 寛弘 (おおつか のぶひろ)
日本能率協会コンサルティング
生産コンサルティング事業本部トータルコストマネジメントユニット
プロセス・デザイン革新センター
兼 設備管理イノベーションセンター チーフ・コンサルタント