【No.6】愛の劣化チャート~設備の劣化を恋愛に置き換えてみると~
まんが自主保全入門 No.6
前回は、清掃によって発見した不具合個所に「エフ付け」を行い、その後、この不具合個所を徹底的に復元・改善する「エフ取り」を行うことを学びました。今号からは、第2ステップである「発生源・困難個所対策」です。この発生源・困難個所は、エフ付けの対象となる不具合のひとつです。第1ステップを経験して生まれてきた設備への興味、改善への意欲を生かし、実質的な効果を生み出すとともに、劣化を防ぐための維持管理活動が容易に行えるように整えていきます。今回はまず、その準備編として設備の劣化がどのようにして起こるのかを見ていきましょう。
→まんがは左から右へ読んでくださいネ。
ここがポイント!
基本条件の整備
自主保全で行う活動のひとつに、設備の劣化を防ぐ活動があります。中でも、清掃・給油・増締めの3つは「基本条件」といわれ、欠かすことのできない重要な活動です。この基本条件をもとにして、
① ゴミ・汚れを排除して潜在欠陥を顕在化して事 前に対策を打つこと
② 油漏れ・油切れを防ぎ摩耗や焼付きを防ぐこと
③ ボルト・ナットのゆるみや脱落を防いで誤作動 や破損を防ぐこと
以上の3つを実施し、人為的である強制劣化を排除することを「基本条件の整備」といいます。
自然劣化と強制劣化
設備を故障させる原因である劣化には、「自然劣化」と「強制劣化」の2種類があります。
設備は、基本条件の整備を守り、正しい使い方をしていても、部品と部品がすり合えば物理的に摩耗します。このように、時期がくれば自然に劣化が進行してくるものを「自然劣化」といいます。
これに対して、清掃すべき個所を清掃しなかったり、給油すべきところに給油しなかったり…といった具合に、基本条件の整備をしなかったために起きる劣化を「強制劣化」といいます。
たとえば、ゴミや汚れの飛散を放置しておくと、設備の主要機能を「強制劣化」させ、故障を引き起こします。このような場合、局所カバーを取り付けて「強制劣化」の原因を断つことが大切です。
強制劣化の原因(設備と人の行動)
強制劣化の原因には、「設備」と「人の行動」の2つがあります。
まず「設備」では、汚れのもとになる発生源をそのままにしているため、設備の主要部分に汚れが侵入する、清掃や給油ができない、などが劣化を早める原因となっています。その他には振動、温度差、紫外線なども劣化を早める原因と考えられます。
次に「人の行動」では、オペレーターが守るべきことを守らなかったり、知らなかったりすることが劣化のスピードを早めることがあります。
そこで、このステップで強制劣化の源を対策し、どこを管理すべきかを理解し、守りにくい個所を改善して、維持管理できるようにしていくのです。
このようにして、強制劣化を排除していくことが大切です。
コラム:発生源マップとは?
前回のエフ付けに不具合個所の把握を目的としたエフマップがあったように、発生源対策を進めていく際にも発生源マップがあります。用途も同じように、発生源個所とその進捗状況がひと目でわかる地図です。
発生源マップの特徴の1つは、マップと不具合の詳細を記した表を組み合わせることで、不具合の発生源を把握すると同時に、不具合に対しての改善・対策を進めていくための大切な資料になるという点です。
この発生源マップを上手に活用することが、第2ステップのカギともいえます。