【No.10】(最終回)「目で見る管理」大発明!~見えすぎちゃって困るのォ~
まんが自主保全入門 No.10(最終回)
自主保全第4ステップは総点検です。ワンポイントレッスンなどの伝達教育で会得した知識に基づき総点検を実施することで、点検や維持すべき項目の“抜け”がいままで以上に見つかるはずです。その結果、点検にかける時間はどんどん増えてきます。しかし、活動時間は変わらないので、点検を効率的に行うことで点検時間の短縮を図ることを検討しなければなりません。そのための方法の1つが「目で見る管理」です。そこで、最終回は、点検に時間のかかる項目を守りやすくする「目で見る管理」の活用法について解説していきます。
→まんがは左から右へ読んでくださいネ。
ここがポイント!
視覚は判断する機能をもっとも持っている
生産現場にはたくさんのマニュアル類や標準、基準などのルールがあります。これを私たちがすべて覚えて行動に移すことは容易ではありません。とくに複雑化した情報は「見る」だけでなく、「読む、探す」という行為を必要とするので、誤判断を引き起こす要因になります。たとえば計器では、単針よりも2針や3針の方が読取り時間がかかるほか、誤りが多くなります。
人が外界の情報をキャッチする87%は、視覚が握っているといわれています。視覚は耳(聞く)や鼻(嗅ぐ)などのほかの五感に比べて、非常に多くの情報をとらえることができ、人間の判断をもっとも左右する機能を持っているのです。
目で見る管理は、こうした人間の視覚の利点を活かし、必要なときに必要な情報を必要なだけ、見やすく判断しやすく、そしてシンプルに人へ働きかける仕組みを実現することをねらいとしています。
目で見る管理の3大効果
(1)異常の早期発見
これは故障やチョコ停、不良、災害などのロスやトラブルを発生させない予防効果を意味しています。ここで大事なことは、人が一生懸命になって注意して異常を発見することではないという点です。機械や設備の方から人に“異常ですよ”と働きかけて、気づかせてくれる異常の早期発見の仕組みをつくることなのです。
(2)誤判断、誤操作、不注意の防止
これはヒューマンエラーを予防して、点検や操作などの作業の正確性を高めて、さらに誰でも個人差がなく同じ作業ができるようになることです。目で見る管理により、“覚えないですむ”“判断しないですむ”“注意しないですむ”仕組みが実現できれば、誤判断や不注意などの人のエラーを予防することが可能となります。
(3)点検の効率化・容易化
・劣化の見やすい環境:(例)のぞかずに見える、登らずに見える
・手間のかからない点検の仕組み:(例)カバーを外さずに見える
・判断のいらない仕組み:(例)異常のときランプが点灯する
といった視点で、目で見る管理を実現します。
コラム:「目で見る管理」と「目で見る表示」
下の2つの図で、左が目で見る表示、右が目で見る管理です。左はオイルを所定量ためておくことに対する正常・異常だけしかわかりません。右は給油時に輪ゴムを油面に巻き付けておくことにより、次回の点検時に油面が輪ゴムより下にあれば、適量のオイルが供給されていることがわかる仕組みになっています。
「目で見る管理」を目指しましょう!