【第10回】段取り改善の手本は料理番組?
同じ製品を大量につくる時代から、1つのラインでさまざまな品種を少量つくる多品種少量生産が当たり前となってきました。もちろん、つくる品種によって使う工具もワークも設備の調整も違ってきます。そこで、ある品種から別の品種の生産に移行するとき、準備や段取りが必要となってきます。その段取り替えの時間が長ければ生産性は下がり、短ければその分生産性は上がります。段取り改善とはそれらの時間を短縮するために、必要なものを事前に準備するとともに、間違いなく・素早く行えるよう作業の手順を考えることです。
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段取り改善は、ステップを踏んで展開します(下表)。このステップを基本的な手順とし、各ステップごとに検討すべき内容を理解し、実施することが大切です。
| ステップ | 項目 | 活動内容 |
| ステップ1 | 現状把握 | ・改善対象の選定 ・改善目標の設定 |
| ステップ2 | 段取り作業の分析 | ・段取り作業の調査(作業内容、時間、目的、使用治具、部品、確認事項など) ・流れ線図の作成 ・作業内容を段取り区分で分ける ・作業内容を作業区分で分ける |
| ステップ3 | ムダの排除 | ・ムダの排除(探すムダ、移動・運搬のムダ、手待ちのムダ) |
| ステップ4 | 内段取り作業の外段取り化 | ・内段取り作業から外段取り作業への移行(準備作業、交換・調整作業) |
| ステップ5 | 内段取り作業の効率化 | ・交換作業の効率化(着脱の改善、作業分担と並行作業) ・調整作業の効率化(基準の統一、位置決めの改善) |
| ステップ6 | 外段取り作業の効率化 | ・外段取り作業のムダ排除 ・外段取り作業手順化 |
| ステップ7 | 段取り替え基準化と維持管理 | ・段取り替え作業手順書および段取り替え作業基準書の作成 ・訓練の実施 ・維持管理 |
今回は、段取り作業の調査について、ポイントをまとめておきます。
(1)段取り作業によるロス時間の把握
まずは段取り作業のロス時間の正確な把握を行い、そのロスがどれだけ悪影響を及ぼしているかを認識しましょう。
(2)段取り作業内容の把握と時間の計測
次に、作業内容をできるだけ細かく洗い出し、その手順ごとに所要時間を計測し、表にまとめます。ビデオなどを活用すると便利です。
(3)作業内容を段取り区分で分類する
改善課題を抽出しやすくするために、作業内容を段取り区分によって「ムダ」「内段取り」「外段取り」に分類してみましょう。
「ムダ」の判別は、段取り替え作業の場合、治具・工具、部品などを「探すムダ」および「移動・運搬するムダ」に着目するといいでしょう。
「内段取り」とは設備やラインを停めて行う段取り替え作業、「外段取り」は停めないで行う段取り替え作業のことを言います。内段取りで行っている作業を、外段取りで行うようにすれば、停止時間を短縮することができます。そのためには、ここで何が内段取りで何が外段取りなのか、明確にしておく必要があります。
(4)作業内容を作業区分で分類する
さらに、作業内容を作業区分によって「準備・片付け作業」「交換作業」「調整作業」に分類します。
そして、段取り区分からの分類と作業区分からの分類を、それぞれ計測した作業時間とともに表にまとめておくと、どんな段取り作業がどれだけロスを発生させているかがひと目で把握できます。
こちらの記事に詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
【NO.10】ロス別の改善ステップ④ 段取りロス(ステップ1〜3)
本記事は『月刊TPMエイジ』2008年1月号からの転載です