潤滑・給油編:【第6回】グリースの種類と用途(増ちょう剤別)
グリースとは、液状潤滑油(基油+添加剤)に増ちょう剤を添加して、均一に混合したものです。油よりも粘度が高く、流動性が低い潤滑剤で、常温で半固体または半流動体となります。
増ちょう剤はグリースを半固体状にする役割と、グリースの耐熱性、せん断安定性、耐水性、離油性などの性質に大きく影響を与える重要な成分です。増ちょう剤でグリースを大別すると、「石けん系」「非石けん系(無機系)」「非石けん系(有機系)」に分けられます。
石鹸系グリースとは、リチウム、カルシウム、ナトリウムなどの石鹸を増ちょう剤に用いたものです。また、耐熱性、耐水性、せん断安定性などをさらに向上させるために、もう一方に別の脂肪酸を入れたコンプレックス(複合石鹸)グリースもあります。
非石けん系には、対放射線用に無機物のシリカゲルを増ちょう剤とした無機系のグリースと、石鹸系より耐熱性を向上させてころがり軸受などに用いるために有機物のポリウレアを増ちょう剤とした有機系グリースがあります。
<ひとくちメモ> グリースの「せん断安定性」とは? 機械的に受ける、せん断力(物体をはさみ切るような作用力)に対するグリースの強さをいいます。せん断安定性が高いグリースは、増ちょう剤によって粘度低下が少なく、破壊されにくい性質を持つものです。 |
◆Q&Aで理解度チェック!
Q1 グリースは、一般的に「非石けん系」が広く使われている。
Q2 増ちょう剤は、グリースを半固体状に維持する役目を持つ。
A1 ×:一般的に「石けん系」が広く使用されます(カップグリース、万能グリースなど)。
A2 ○:題意のとおりです。
■福田洋市
◆専門分野:設備保全支援
◆TPM:個別改善、自主保全、計画保全、品質保全、教育訓練、管理間接、安全・衛生・環境
輸送機器メーカーにて製造、保全、安全衛生等の部門で多くの資格を取得しながら経験を積んだ後、工場長として会社統合、工場再編成、生産統合、海外工場支援指導等にあたる。さらに、生産アドバイザーとして生産システム整備や若手人材育成などに携わり、2022年より現職。豊富な実務経験に基づいた、保全技能や改善手法の教育をベースとする人財育成に手腕を発揮している。
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