バルブ・配管編:【第69回】バルブの種類と特徴・用途 ③球形弁(ボール弁)

 球形弁は弁座と球状弁体の球面で摺動して、90°までの範囲で開閉ができ、操作が容易で迅速に対応できるのが特徴です。

 弁座は用途に応じて、金属、ゴム、テフロンなどが用いられます。樹脂製のシートを用いる「ソフトシート」は気密性に優れますが、温度・圧力の制限があります。一方、金属製のシートを用いる「メタルシート」は、高温に使用できますがシール機能は劣ります。

名称 特徴 用途

球形弁(ボール弁)級形弁

 

[長所]
・90°で開閉操作ができる
・圧力損失がきわめて小さい(全開時)
・ボディーがコンパクト
・気密性が良い


[短所]
・大口径には不適
・本体とボール間に流体が溜まりやすい
・面間寸法が大きい
・流量調整は不向き

・ガスの元栓
・水、空気、蒸気など開閉

ボール弁の構造




<ひとくちメモ>  球形弁とウォータハンマ

ウォータハンマとは、菅内の水流を急に遮断したとき、水の慣性で菅内に衝撃と高水圧が発生する打撃作用です。弁の閉鎖や配管の充水時、ポンプの急停止といった急激な圧力変化によって生じ、水撃音(ド∼ンという音)や振動が伴います。主に水で発生し、バルブや配管の損傷に繋がる恐れがあります。球形弁は即時に弁の開閉ができるためウォータハンマが発生しやすく、十分な注意が必要です。





◆Q&Aで理解度チェック!

Q1 球形弁(ボール弁)は、ガスの元栓によく利用されている
Q2 球形弁(ボール弁)は、全開時の圧力損失が大きい

A1 〇:題意のとおりです。
A2 ×:球形弁は、全開時の圧力損失がきわめて小さいのが特徴です。


■福田洋市
◆専門分野:設備保全支援
◆TPM:個別改善、自主保全、計画保全、品質保全、教育訓練、管理間接、安全・衛生・環境

輸送機器メーカーにて製造、保全、安全衛生等の部門で多くの資格を取得しながら経験を積んだ後、工場長として会社統合、工場再編成、生産統合、海外工場支援指導等にあたる。さらに、生産アドバイザーとして生産システム整備や若手人材育成などに携わり、2022年より現職。豊富な実務経験に基づいた、保全技能や改善手法の教育をベースとする人財育成に手腕を発揮している。

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