重複小集団活動二股がけと呼ばないで 連載第3回

TPMは、トップから第一線従業員まで全員が参加して推進する活動です。言い換えれば全員が参加しやすい組織や環境がなければTPMは成り立ちません。では、全員でTPM活動を行うにはどのような形態の組織がふさわしいのでしょうか。それが重複小集団と呼ばれる組織です。重複小集団では、各階層がお互いに重なり合って活動することで、トップが掲げる目標や課題を明確に伝達でき、また現場の意見をトップの方針に反映させることができます。TPM活動を推進するにあたって、なくてはならない組織のあり方です。

→左から右へ読んでね。

ここがポイント!

重複小集団とは?

 TPM活動はグループ単位(小集団)で推進されますが、これは単なる作業者の集まりではありません。
 TPM活動を推進している工場には、工場全体で掲げる目標があります。その目標を達成するためには、部、課、係、班(サークル)に方針をきちんと伝え、それぞれ具体的に何をするべきか検討する必要があります(トップダウン)。一方で目標達成のために各部署で検討した内容を上部の組織に伝え、全体の方針に反映させたり課題として提案することも大事になります(ボトムアップ)。
 このトップダウンとボトムアップがうまく機能し合う組織が、第一線のオペレーターからトップまで全員が参加するTPM活動にとって不可欠であると言えます。それを実現できる組織形態がTPM流の小集団“重複小集団”です。
 みなさんがオペレーターとして入社すると、まずサークルに配属されますが、サークルには必ず班長がいます。重複小集団は、各サークルの班長たちが班長のグループを形成し、班長のグループのリーダーが係長のグループを、係長のグループのリーダーが課長のグループを形成するというように、各階層の組織が互いに重なり合って存在します。
 このように上部組織と下部組織のつながりを強固にすることで、共通の問題意識を持ち、同じ目標に向かって活動を推進することができるのです。

リーダーの条件

 サークルのリーダーは、職制上のリーダー(係長やラインの責任者)がなったり、サークル内の互選で決まったりします。
 リーダーにはTPM活動を推進する上でのリーダーシップや、改善活動を進める上での能力などが要求されます。具体的には、
・ サークルの目標と活動テーマの設定、実行計画の立案・実施
・ 活動の役割分担とフォローアップ
・ サークルメンバーの意見の尊重、技能・能力の評価、教育・訓練の実施
といったことがあげられます。

1人ひとりが主役

 サークルのチームワークは、お互いに補い合うことで最大限の効力を発揮します。そのためにはメンバーがそれぞれの持ち場で役割をキチンとこなすことが大事です。いつもと違う機械の温度・振動など故障の兆候を察知できるのは、持ち場の担当者である自分だけです。
 また、活動板の情報整理、目で見る管理の実践など、TPM活動にはいろいろな技能が必要です。自分の得意な分野から活動に参加するのも有効なアプローチとなります。
 このようにTPMの小集団活動では1人ひとりが主役なのです。

重複小集団活動

次へ 

TPM鉄則50:非定常作業が災害につながる

 前へ

TPM鉄則49:本質安全化で職場の安全を確保する