夢にまで見たTPM Before & After 連載最終回


みなさんは工場で働くことについて、油や切削くずでよごれ放題、ひんぱんに故障やチョコ停が起こって増える負担、挟まれ・巻込まれなどの危険と常に隣り合わせ…、そんなイメージを抱き、それを当たり前のように思っていませんか。このコーナーでは12回にわたりTPMの基礎を解説してきました。これまでの内容を、もし実践し続けてみたとしたら、TPMを始める前を思い出して、今の状況と比べてみてください。人によって、職場によって、進め方によって、多少の違いはあるでしょうが、工場に抱くイメージはきっと変わっているハズです。





ここがポイント!



 TPMの活動(TPM活動の8本柱)のうち、オペレーターが担う活動はたくさんあります。その中でも特徴的なのが自主保全です。何がどのように変わるのでしょうか。



人が変わる



 自主保全活動を始める以前は、「保全や整備は保全マンがする仕事」という気持ちが強かった人も多いのではないでしょうか。

 しかし自主保全では、オペレーターは基本条件(清掃・給油・増締め)の整備などの「劣化を防ぐ活動」、使用条件のチェックや日常の点検などの「劣化を測る活動」、小整備・異常の処置などの「劣化を復元する活動」などを行う必要があります。こうした活動は常に設備に接しているオペレーターだからこそできるものです。

 そして、その過程で、「自分の設備は自分で守る」という気持ちが芽生え、「設備に強いオペレーター」へとなっていくのです。



設備が変わる



 「劣化を測る活動」は、劣化や異常を発見する目を養うことにもつながってきます。五感を使って劣化や異常を見つけたら、エフ付けをし、それがオペレーターでも処置できるもの(白エフ)であれば元の状態に復元します(エフ取り)。これが「劣化を復元する活動」です。

 復元を行い、劣化や異常の状態を点検し、ある限度以上になったら復元を繰り返します。そうすることで、故障や不良の発生を低減し、または危険個所を解消し、正常な状態を維持できるのです。そして、その次に改善の策を講じることが、最高の設備効率を実現する早道です。

 こうした活動を通して、故障ばかりだった設備が確実に変わっていくのです。



職場が変わる



 TPMが設備に関わる人びとの活動だからといって、オペレーターだけの活動とするのは間違いです。TPMの目的は「企業体質の改善」にあります。言い換えれば“職場を変える”ことです。

 その目的を達成するために設備計画部門、保全部門、生産管理部門、購買部門、事務・間接部門など、生産活動に関係するすべての部門のすべての人びとによって展開されます。

 “TPMをやって職場が変わった”と心から思えるようになるには、自らが主役になって実践し、全員で力を合わせて問題に取り組み、解決していくことが重要です。


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