ときに慢性ロスはミックスジュースのように… 連載第5回

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ここがポイント!

慢性ロスの把握がPM分析の第一歩

 個別改善の目的の1つに、慢性化した故障やチョコ停などの慢性ロスの原因を徹底的に追求し、改善を図るということがあります。しかし、この慢性ロスはなかなか減少しないのが実態です。その慢性ロスをゼロにするための考え方と手法が、PM分析です。言い換えれば、慢性ロスの特徴を把握することがPM分析の第一歩となります。

突発ロスと慢性ロス

 ロスには、突発型(突発ロス)と慢性型(慢性ロス)があります。突発ロスは、設備が正常に稼動する上での条件・要因が急に変わったために発生します。たとえば、「突然の振動によって軸がズレたので、ワークにバラツキが生じた」といったケースです。
 この突発ロスは、原因が1つであることが多いため、対策は比較的簡単です。また、原因と結果の関係がはっきりしているので、変わってしまった条件や要因を元の正しい状態に戻せば(復元的対策)、解決することが多いといえます。
 一方、慢性ロスは突発ロスに比べて、対策が難しく革新的な対策が必要となります(下図)。

 
それは以下のような特徴があるからです(下図)。

・ 原因は1つであるが、原因となるものが数多くあり、それがそのつど変わる(複数原因)
・複合原因により発生し、その要因の組合わせがそのつど変わる(複合原因)

PM分析の必要性

 しかし多くの現場では、「現象を十分に理解しないまま原因を決めつける、絞りすぎる」ため、慢性ロスが減少しないという状況に見舞われています。つまり、1つの原因に対する対策は効果的であっても、他の原因について対策をしていないため、効果は一時的なものとなり、すぐにロスが再発してしまうのです。
 慢性ロスは、考えられるすべての原因をリストアップして調査し、欠陥があれば1つずつ対策を打たなければ、ゼロにすることはできません。それを実現する手法がPM分析なのです。

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