歯車編:【第21回】歯車の各部名称(2)

 前回に続き、歯車に関する主要な用語を説明します。

【バックラッシ】

 歯車がかみ合っているときに、歯と歯の間にすき間(遊び)を設けて、回転を円滑にするものです。バックラッシが大き過ぎると騒音や振動の原因になり、小さ過ぎると伝達効率の低下や、摩擦の増大による歯車の寿命低下の原因になります。バックラッシは適切に保つ必要があります。

バックラッシ

【アンダーカット】

 歯車と歯車がかみ合うときに一方の歯車が、もう一方の歯車の歯元を切り出すことです。歯車の「切り下げ」とも呼ばれます。ラック工具やホブでの歯切りで起きやすい現象です。

アンダーカット

【クラウニング】

 歯車のかみ合いで、歯の当たりを良くするために、歯すじの方向に適当な“ふくらみ”を付けることをいいます。歯幅端部に歯当たりが集中することを防ぎ、異音発生の原因を減少させます。

クラウニング


<ひとくちメモ> バックラッシの適正値は?

通常であれば、バックラッシは0.1㎜くらいで設定します。500㎜以上の大型歯車であれば 0.2㎜程度が望ましいとされています。大きさや用途によって適切な値を保つことが重要です。



◆Q&Aで理解度チェック!

Q1 アンダーカットは、ラック工具やホブ盤加工で発生しやすい
Q2 バックラッシは、通常であれば0.3㎜程度が望ましい

A1 ◯:第意のとおりです。
A2 ×:通常であれば0.1㎜程度、500㎜以上の歯車であれば0.2㎜程度が望ましいとされています。


■福田洋市
◆専門分野:設備保全支援
◆TPM:個別改善、自主保全、計画保全、品質保全、教育訓練、管理間接、安全・衛生・環境

輸送機器メーカーにて製造、保全、安全衛生等の部門で多くの資格を取得しながら経験を積んだ後、工場長として会社統合、工場再編成、生産統合、海外工場支援指導等にあたる。さらに、生産アドバイザーとして生産システム整備や若手人材育成などに携わり、2022年より現職。豊富な実務経験に基づいた、保全技能や改善手法の教育をベースとする人財育成に手腕を発揮している。

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