歯車編:【第26回】歯車の熱処理
前回で説明しました様に、歯車の材料で炭素鋼や合金鋼は熱処理が大前提となっています。
歯車は、歯車同士が常に接触しているので、硬さが低いとすぐに摩耗してしまうため焼入れ、焼き戻し、焼なまし、焼きならし、表面硬化などの熱処理が必要となります。
下記に主な歯車の表面硬化法を述べます。
<ひとくちメモ> 鉄と鋼と炭素の関係 鉄と鋼の違いは、炭素量の違いです。炭素含有量0.02%以下が鉄で、炭素が0.02%〜2.14%が鋼です。炭素が多いと硬くなりますが脆くなり、炭素が少ないとその逆の性質になります。鋼は、強度・靭性・加工性を持たせるために鉄に炭素量を意図的に増やした合金です。歯車表面は浸炭や高周波焼入れを行い、炭素の固溶強化で表面硬化を図っています。 |
◆Q&Aで理解度チェック!
Q1 浸炭焼入れは、中・高炭素鋼材が適している
Q2 一般に、鋼は炭素含有量が多いと硬くて靭性が良い
A1 ×:浸炭焼入れは、低炭素鋼材に適している。
A2 ×:炭素含有量が多いと、強く硬くなりますが同時に脆くなる(靭性が低下する)。
■福田洋市
◆専門分野:設備保全支援
◆TPM:個別改善、自主保全、計画保全、品質保全、教育訓練、管理間接、安全・衛生・環境
輸送機器メーカーにて製造、保全、安全衛生等の部門で多くの資格を取得しながら経験を積んだ後、工場長として会社統合、工場再編成、生産統合、海外工場支援指導等にあたる。さらに、生産アドバイザーとして生産システム整備や若手人材育成などに携わり、2022年より現職。豊富な実務経験に基づいた、保全技能や改善手法の教育をベースとする人財育成に手腕を発揮している。
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