材料一般編:【第31回】非鉄金属(3)プレシャスメタル(貴金属)

 前回は「ベースメタル」を取り上げましたが、今回は「プレシャスメタル(貴金属)」について説明を加えます。

 プレシャスメタル(貴金属)は、金と銀および白金族の6元素による合計8元素です。いずれも産出量が少なく希少性があり、物質的な面からは「さびにくい」「簡単に溶けにくい」などの特性のほか、金属の中で飛び抜けて「重い」という特徴があります。また、経済的な面からは「価値変動が少ない」「換金性が高い」「利益性が高い」「価値が普遍」「国際流通性が高い」といった優位性があります。

 プレシャスメタル(貴金属)の元素と主な用途を、以下にまとめて示します。

元素 主な用途

 装飾品、歯科用金属、陶器接着材、電子部品など

 銀食器、硬貨、医療用品、写真用品、歯科用金属、殺菌・抗菌剤など

プラチナ(白金)

 電極、触媒、宝飾品、燃料電池、抗がん剤など

ルテニウム

チップ抵抗部品、電気化学の電極材など
ロジウム 自動車用触媒など
パラジウム 触媒、歯科用材料、ペンダント、イヤリング、ネックレス、ブレスレットなど
イリジウム 装身具、電極材、触媒など
オスミウム 電気接点、耐摩耗材、ペン先など



<ひとくちメモ> 白金属とは

プレシャスメタル(貴金属)の中で、プラチナ(白金)、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム、オスミウムの6元素を「白金属」と総称しています。これらの金属は性質がよく似ており、「硬い」「空気や水に安定」「高温でも変化しない」「酸やアルカリに強い」「耐食性が良い」などの特性をもっています。プラチナ(白金)の生産量は金の35分の1しかないといわれており、まさしく希少な金属です。また、「白金族」と記す場合もありますが、一般的に同義語として用いられています。



◆Q&Aで理解度チェック!

Q1 プレシャスメタル(貴金属)は、他の金属より飛び抜けて「重い」という特徴がある
Q2 「白金族」は、金、銀、プラチナ(白金)、ルテニウム、ロジウム、パラジウムの6元素を総称したものである

A1 〇:題意のとおりです。
A2 ×:プラチナ(白金)、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム、オスミウムの6元素を総称したものです。


■福田洋市
◆専門分野:設備保全支援
◆TPM:個別改善、自主保全、計画保全、品質保全、教育訓練、管理間接、安全・衛生・環境

輸送機器メーカーにて製造、保全、安全衛生等の部門で多くの資格を取得しながら経験を積んだ後、工場長として会社統合、工場再編成、生産統合、海外工場支援指導等にあたる。さらに、生産アドバイザーとして生産システム整備や若手人材育成などに携わり、2022年より現職。豊富な実務経験に基づいた、保全技能や改善手法の教育をベースとする人財育成に手腕を発揮している。

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