材料一般編:【第33回】非金属材料(1)非金属材料の分類と用途

 非金属材料とは、金属元素の成分を含まない材料です。主な非金属材料はセラミックス、プラスチック、ガラス、ゴムなどで、電気を通しにくい材料が多くを占めます。

 非金属材料は、「無機材料」と「有機材料」の2つに分類されます。一般に、炭素を含まない非金属材料を「無機材料」、炭素を含む非金属材料を「有機材料」といいます。

 「無機材料」を代表するものにセラミックスがありますが、最近では人工材料を焼成したニューセラミックスが半導体装置や電子部品などで活用されています。また、ガラスは従来から窓やコップなどに多用されてきましたが、新しい材料や作製技術・精密加工技術によって高機能化したニューガラスが誕生して、光ファイバー、医療(生体適合材料)、半導体製造機器などに利用されています。

 「有機材料」はプラスチック、ゴム、木材、紙、油脂といった日常品のほかに、液晶、有機EL、有機半導体といった情報電子材料や人工臓器などの医用材料など、最先端技術も支えています。

 主な非金属の分類と名称および用途を、以下にまとめて示します。

分類 名称 主な用途

 

 無機材料

セラミックス 半導体製造装置、液晶製造装置、コンデンサー、自動車部品など
ガラス 窓、コップ、テレビ画面、ニューガラス分野など
セメント、石材、粘土 コンクリート、モルタル、骨材、レンガ、陶管など
マンガン 電池、鉄鋼、肥料の原料など
黒鉛 電極、鉛筆の芯、パンタグラフ、ブレーキパットなど
有機材料 熱可塑性プラスチック 塩化ビニール樹脂、ポリエチレン、エンジニアリングプラスチックなど
熱硬化性プラスチック フェノール樹脂、アミノ樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂など
ゴム ニトリルゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴムなど



<ひとくちメモ> ダイヤモンドは有機物?

一般に、炭素を含む化合物は有機物ですが、炭素自体やダイヤモンドは無機物として取り扱います。「有機物は生体が産出する(=生物がつくりだす)物質」とされており、ダイヤモンドは炭素を含むものの、生物に由来しないので無機物とされます。



◆Q&Aで理解度チェック!

Q1 非金属材料は、プラスチックやゴムなどの「無機材料」と、セラミックスやガラスなどの「有機材料」の2つに分類される
Q2 ニューガラスは、光ファイバー、生体適合材料、半導体製造装置などに使用されている

A1 ×:セラミックスやガラスなどの「無機材料」と、プラスチックやゴムなどの「有機材料」の2つに分類されます。
A2 〇:題意のとおりです。


■福田洋市
◆専門分野:設備保全支援
◆TPM:個別改善、自主保全、計画保全、品質保全、教育訓練、管理間接、安全・衛生・環境

輸送機器メーカーにて製造、保全、安全衛生等の部門で多くの資格を取得しながら経験を積んだ後、工場長として会社統合、工場再編成、生産統合、海外工場支援指導等にあたる。さらに、生産アドバイザーとして生産システム整備や若手人材育成などに携わり、2022年より現職。豊富な実務経験に基づいた、保全技能や改善手法の教育をベースとする人財育成に手腕を発揮している。

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