キー・ピン編:【第49回】小径軸用のキー

 今回は、「小径軸用のキー」を取り上げます。主なキーとして、半月キー、すべりキー、円すいキー、丸キーなどがありますが、いずれも小径軸に用いるので、伝達力はあまり大きくないことが特徴となっています。

 表に、小径軸用のキーの種類・形状と特徴・用途をまとめます。

小型軸用のキー

図は各種資料をもとに編集部で作成




<ひとくちメモ> キーの材料

キーの材料は原則として、600N/㎟以上の炭素鋼を使用しています。許容せん断力は30〜40N/㎟、許容面圧は100〜150Nス㎟に選定することが多いようです。一般的に、みがき棒鋼(炭素鋼)はS20C-DまたはS45C-D、炭素鋼鍛鋼品はSF540A/B(SF55)、機械構造用炭素鋼鋼材はS35CまたはS45Cを使用します。



<こんなときどうする> キーが変形した!

キーが変形した場合の、一般的な現象、原因、対策を示します。

現象:フランジ形軸継手の平行キーで、ボス側キーと反軸側キーに摩耗が生じて、いびつな変形が起きてその部分にすきまが生じた。


原因:正転・逆転の運転に平行キーを用いた
対策:正転・逆転に耐えるフランジ形継手のボス部を焼きばめにして、勾配キーで固定する。または、接線キーを使用する


保全ポイントとして、運転時の異音やガタツキ、停止時のキーの抜け・欠け、軸とボスのすきま、周辺の(すべりによる)摩耗粉がないか、などを確認しましょう



◆Q&Aで理解度チェック!

Q1 すべりキーの材質は、ボス側の材質と同一にして摺動をなじませる
Q2 半月キーは、テーパ軸に適している

A1 ×:同一材質にすると、摺動時の圧着で擬着摩耗現象が生じてしまいます。
A2 〇:題意のとおりです。


■福田洋市
◆専門分野:設備保全支援
◆TPM:個別改善、自主保全、計画保全、品質保全、教育訓練、管理間接、安全・衛生・環境

輸送機器メーカーにて製造、保全、安全衛生等の部門で多くの資格を取得しながら経験を積んだ後、工場長として会社統合、工場再編成、生産統合、海外工場支援指導等にあたる。さらに、生産アドバイザーとして生産システム整備や若手人材育成などに携わり、2022年より現職。豊富な実務経験に基づいた、保全技能や改善手法の教育をベースとする人財育成に手腕を発揮している。

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