キー・ピン編:【第48回】キーの種類、形状、特徴・用途

 キー(key)は、歯車やカップリング、スプロケット、プーリーなどを回転軸に固定して、回転力を伝達するために用いられます。

 キーは、荷重条件や構造・機能に応じて多くの種類があります。大別するとキー溝がないタイプとキー溝があるタイプがあり、一般にキー溝がないタイプは「軽荷重用」、キー溝があるタイプは「動力伝達用」に用います。次回の部品交換時に、使われているキーの種類を確認してみましょう。

 キーの種類・形状と用途を下表にまとめます。

キーの種類

図は各種資料をもとに編集部で作成




<ひとくちメモ> キーの長さ、引っ張り強さは

キーの各部寸法は特に指定がない限り、すべてJISで定められた規格のものを選び、キーの長さは、軸径の1.5倍に製作します。キーの強さは、軸材よりいくらか硬いものを用います。キー材料の引っ張り強さは、原則として600N/㎟以上とされています。



<こんなときどうする> 自動車のタイヤ交換時の締付けトルクは?

図のようなキー溝のヘタリや摩耗に遭遇したことはありませんか。このようなトラブルの一般的な現象、原因、対策を示します。


現象:衝撃を受けるフランジカップリングのキー溝を点検したところ、ヘタリが発見された
原因:過負荷、面圧不足
対策:キー材料がS25Cだったので、引張り強さ600N/㎟以上のものとする。また、許容面圧が100〜150N/㎟のものを選定する(キーの長さは、軸径の1.5倍程度)。衝撃の少ない運転方法を検討する


 保全ポイントとして、運転時の異音、ガタツキ、停止時のキーの抜けや欠け、軸とボスのすきま、周辺の摩耗粉(すべりによる)がないこと、などを確認します。



◆Q&Aで理解度チェック!

Q1 キーの材料は、軸材料より軟らかい材料を選ぶ
Q2 キーの中で、もっとも強く固定ができるのは「接線キー」である

A1 ×:軸材料より、いくぶん硬い材料を選びます。
A2 〇:題意のとおりです。


■福田洋市
◆専門分野:設備保全支援
◆TPM:個別改善、自主保全、計画保全、品質保全、教育訓練、管理間接、安全・衛生・環境

輸送機器メーカーにて製造、保全、安全衛生等の部門で多くの資格を取得しながら経験を積んだ後、工場長として会社統合、工場再編成、生産統合、海外工場支援指導等にあたる。さらに、生産アドバイザーとして生産システム整備や若手人材育成などに携わり、2022年より現職。豊富な実務経験に基づいた、保全技能や改善手法の教育をベースとする人財育成に手腕を発揮している。

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