締結編:【第45回】ナットの種類と用途

 ナットの種類には、「六角ナット/六角底ナット」「四角ナット」「つまみナット」「ちょうナット」「袋ナット」などがあります。

 六角ナットは60°という少ない回転角でできるため、一般的によく使われます。六角ナットには1種・2種・3種などの種類があり、日本で一般的に流通しているのは片方が平らな1種のナットで、平らな方を取り付けるものに接地する施工をします。2種は両面が平ら、3種は厚みが薄く両面が平らという特徴があります。

 ナットには多くの種類があり、用途に合わせて使い分けます。下表に、主なナットの種類と特徴・用途をまとめます。

ナットの種類

参考:入門・機械&保全ブックス2 機械要素の本②(日本プラントメンテナンス協会)






<ひとくちメモ> ダブルナットの正しい取付け方

ボルト・ナットの落下や、ゆるみ止めとしてダブルナットを用います。正しいダブルナットの取付け方は、母材から近い方(下)に薄いナット、遠い方(上)に厚いナットを使用します。ダブルナットは上ナットに軸力がかかるため、上に厚いナットを配置する必要があります。ダブルナットで、上ナットを締めた後に「ロッキング」をかける「下ナット逆転法」とは、『下ナットを軽く締める→上ナットを締める→上ナットを固定して下ナットを逆転させてロッキング力で固定する』というものです。



<こんなときどうする> ボルト・ナットの緩みを防止したい

緩み防止にはダブルナットのほかに「接着剤(ロックタイトなど)」「ボルトとナット締結(割りピンなど)」「ゆるみ止めワッシャ(サラバネ座金など)」「ゆるみ止めナット(ハードロックナットなど)」「ゆるみにくいボルト(スーパーボルトなど)」「ナット脱落防止(ロックワンなど)」などがあります。用途や使用環境に合わせて試してみてください。



◆Q&Aで理解度チェック!

Q1 六角ナットの種類のうち、2種は片面取りを施している
Q2 ダブルナットの正しい取付け方法は、母材に近い方を薄いナットとする

A1 ×:2種は両面取りを施しています。
A2 〇:題意のとおりです。


■福田洋市
◆専門分野:設備保全支援
◆TPM:個別改善、自主保全、計画保全、品質保全、教育訓練、管理間接、安全・衛生・環境

輸送機器メーカーにて製造、保全、安全衛生等の部門で多くの資格を取得しながら経験を積んだ後、工場長として会社統合、工場再編成、生産統合、海外工場支援指導等にあたる。さらに、生産アドバイザーとして生産システム整備や若手人材育成などに携わり、2022年より現職。豊富な実務経験に基づいた、保全技能や改善手法の教育をベースとする人財育成に手腕を発揮している。

福田洋市についてもっと知る >

次へ 

締結編:【第46回】座金の種類と用途

 前へ

締結編:【第44回】締結方法によるボルトの種類