締結編:【第46回】座金の種類と用途

 座金(ワッシャー)は、ねじやボルトを締め付けるときに、部材との間に設置する板状の部品です。ボルト穴が大きすぎる、座面が平らでない、座面の材料が弱い、振動や回転力が作用する場合のほか、平均的な締付け力や面圧の分散、ゆるめ止めなどが必要な場合に使用します。

 座金の種類と特徴・用途を下表にまとめます。

座金の種類、特徴、用途

参考:入門・機械&保全ブックス2 機械要素の本②(日本プラントメンテナンス協会)






<ひとくちメモ> 座金組込みねじの仕組み

座金組込みねじは、一般的に「セムスねじ」と呼ばれます。機械に組み付ける時にボルトから座金が落下しないので非常に便利なものです。セムスねじは、あらかじめ座金を組み込んでから転造することで、ねじ山の外径が大きくなる(座金内径より大きくなる)ことを利用して、座金が脱落しないようにしています。



<こんなときどうする> ばね座金を再利用したい

ばね座金を再利用するかどうかの判断について考えてみましょう。ばね座金は、使用するにしたがって程度の差はあるものの「へたり」が発生します。再利用が可能かどうかは、この「へたり」の程度と使用する個所に必要な締結の重要度から判断する必要がありますが、基本的に安価なものなので新品に交換する方がよいでしょう。

※「へたり」=長期使用における永久変形や性能劣化を指します



◆Q&Aで理解度チェック!

Q1 斜め座金は、I型鋼やレールの取付け時に利用される
Q2 ボルトの交換時に、ばね座金の「へたり」具合の判断に基づき、再利用するのは有効な手段である

A1 〇:題意のとおりです。
A2 ×:ばね座金は、ばねの開きや反動力低下の可能性もあり、安価でもあるので再利用しないのが望ましい。


■福田洋市
◆専門分野:設備保全支援
◆TPM:個別改善、自主保全、計画保全、品質保全、教育訓練、管理間接、安全・衛生・環境

輸送機器メーカーにて製造、保全、安全衛生等の部門で多くの資格を取得しながら経験を積んだ後、工場長として会社統合、工場再編成、生産統合、海外工場支援指導等にあたる。さらに、生産アドバイザーとして生産システム整備や若手人材育成などに携わり、2022年より現職。豊富な実務経験に基づいた、保全技能や改善手法の教育をベースとする人財育成に手腕を発揮している。

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