軸・軸継手編:【第51回】軸の種類、機能、特徴・用途①

 軸は、あらゆる設備機械に使用されている重要な機械要素部品です。タービンのように大きな軸から、腕時計のような小さな軸まで多種多様です。

 軸の機能は、「動力やトルクを伝達する」「重量、荷重を支える」という2つになります。一般に、プーリー、ギア、スプロケットなどと組み合わせて利用することで、軸としての機能を果たしています。また、他の機器との結合や、長い軸が必要な場合には「軸継手」を利用します。

 今回は、伝動軸、車軸、スピンドル軸、クランク軸の種類、機能、特徴・用途を紹介します。

軸の種類

図は各種資料をもとに編集部で作成




<ひとくちメモ> 軸の材料に求められるもの

軸の材料に求められる性質として、

①ねじり、曲げに対する十分な強さ
②靭性の高さ
③はめ合い面での十分な耐摩耗性
④振動や衝撃荷重などに対する疲労強度の高さ
などがあります。

一般的に低炭素鋼(炭素量0.1〜0.3%)が使用されますが、特に強靭性が要求される場合には、SMn(マンガン鋼)、SCr(クロム鋼)、SCM(クロムモリブデン鋼)、SNC(ニッケルクロム鋼)、SNCM(ニッケルクロムモリブデン鋼)などの合金鋼が用いられます。



<こんなときどうする> ピンを抜きたい!

軸のトラブルの原因を追究することは、再発防止のために非常に大切ことです。一般的な軸のトラブル(損傷)と原因を紹介するので、自職場で確認してみましょう。

[損傷]ボス、ベアリングはめ合い部の摩耗(微動たたかれ)→[原因]締めしろ不足
[損傷]キー溝のヘタリ、摩耗→[原因]過負荷、面圧不足
[損傷]段付き部の亀裂→[原因]疲労、過負荷
[損傷]曲がり→[原因]外力
[損傷]腐食→[原因]腐食環境



◆Q&Aで理解度チェック!

Q1 スプラインとは、溝と山の形状が三角形の山になったものである
Q2 軸にキー溝にヘタリ、摩耗が見られるので、原因に過負荷・面圧不良が考えられる

A1 ×:題意は、セレーションの説明です。
A2 〇:題意のとおりです。


■福田洋市
◆専門分野:設備保全支援
◆TPM:個別改善、自主保全、計画保全、品質保全、教育訓練、管理間接、安全・衛生・環境

輸送機器メーカーにて製造、保全、安全衛生等の部門で多くの資格を取得しながら経験を積んだ後、工場長として会社統合、工場再編成、生産統合、海外工場支援指導等にあたる。さらに、生産アドバイザーとして生産システム整備や若手人材育成などに携わり、2022年より現職。豊富な実務経験に基づいた、保全技能や改善手法の教育をベースとする人財育成に手腕を発揮している。

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