シール編:【第57回】シール材の性質と構造の種類
シールには、漏れ防止や異物の侵入を防ぐという目的があるので、シールの材質には次のような性質(特性)が要求されます。いろいろな要求を1種類のシール材で満足させることは困難なので、使用条件に適したものを選定する必要があります。
シールを使用する条件も、運動用か静止用かのほかに、温度や圧力の違いや、流体物の種類など多岐にわたるため、さまざまなシール構造が用意されています。
運動用シール(パッキン)は、シール面が直接内輪に接触する「接触型」と、接触せずに(隙間を挟んで)対向する「非接触型」に分かれます。接触型は密封性が非常に高いものの、動作時の摩擦が大きいので、漏れや異物の侵入の防止を最優先したい場合などに使用します。非接触型は動作時の摩擦が小さいですが密封性に劣るので、ある程度の漏れや異物の侵入を防止しつつ、摩擦を押さえたい場合などに使用します。
固定用シール(ガスケット)はボルトなどで固定されている静止部分に用いるシールで、その材質によって「金属ガスケット」と「非金属ガスケット」に分かれます。
<ひとくちメモ> 第2次世界大戦以降にシール性能が向上 |
<こんなときどうする> ガスケットがはがれない |
◆Q&Aで理解度チェック!
Q1 シール材の性質には、通気性が必要となる
Q2 運動用シール(パッキン)は、「接触型」と「非接触型」に分けられる
A1 ×:シール材の性質には、密着性、耐圧性、ち密性などが求められますが、通気性は求められる機能と異なります。
A2 〇:題意のとおりです。
■福田洋市
◆専門分野:設備保全支援
◆TPM:個別改善、自主保全、計画保全、品質保全、教育訓練、管理間接、安全・衛生・環境
輸送機器メーカーにて製造、保全、安全衛生等の部門で多くの資格を取得しながら経験を積んだ後、工場長として会社統合、工場再編成、生産統合、海外工場支援指導等にあたる。さらに、生産アドバイザーとして生産システム整備や若手人材育成などに携わり、2022年より現職。豊富な実務経験に基づいた、保全技能や改善手法の教育をベースとする人財育成に手腕を発揮している。
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