バルブ・配管編:【第63回】配管の種類と用途(1)

 配管はコンビナートや工場はもちろん、さまざまな施設などで気体、液体、半固体、粉体などを搬送している重要な機材です。たとえば家庭で使用する水やガスは、すべて配管で送られてきており、配管がなければ生活は非常に不便なものとなります。

 配管の材料・仕様は一般的に、使用流体(気体なども含む)、圧力、温度、流量、運転環境、施工条件などによって選択されます。そこで、各種配管の材料・材質、化学的性質、規格などを、よく理解することが必要となります。

 下表に、配管の種類と特徴・用途を示します。

種類 用途
鋼管 一般的によく使用される配管。一般配管用、水道用、熱伝達用、構造用、その他がある。材質面では、炭素鋼鋼管、合金鋼鋼管、ステンレス鋼鋼管などに分類される。
鋳鉄管 鋳鉄管は、鋼管に比べ耐食性・耐圧性に優れている。水道、ガス、排水管、電信電話ケーブル埋設管に使用されている。
非鉄管 銅および銅合金管、アルミニウム管、ニッケル合金管、チタン管などある。加工性、熱伝達などに優れており 給水、給湯、冷暖房機器などに使用される。
 非鉄金属管 硬質塩化ビニール管、ヒューム管、陶管などがある。 硬質塩化ビニール管は、耐アルカリ性、耐電食、熱の不導体で腐食がない。欠点は低温、高温で強度低下、温度上昇で劣化増大し、熱膨張も大きくなる。個々の特性と活かし使用されている。
 その他の管  ゴム管、たわみ管、ライニング管などある。ゴム管は、自由なたわみ性、可搬性、移動性の利点がある。たわみ管は高温ガス、蒸気、水、油などの地震対策などに消防法で設置が義務つけられている。



<ひとくちメモ> 配管系は、外径を基準とした「呼び径」で統一

実際に配管の施工をする際には、弁、フランジ、エルボ、ティーなどが接続されて配管系を形成します。これら配管系は、外径を基準とした「呼び径」で統一されています。ただし、JIS規格(日本産業規格)とANSI規格(米国国家規格協会)では、外径が少し違うので注意が必要です。



<こんなときどうする> ミリとインチで違う配管の「呼び径」

配管の「呼び径」は、図面に「20A」や「3/4」などと記載されています。また、現場で「6分」などと呼ばれているのを聞いたことはないでしょうか?
実は、「呼び径」を表す方法には、『A呼称』『B呼称』『俗称』の3つがあります。
・「20A」は『A呼称』で「ミリメートル」を基準としたもの
・「3/4」は『B呼称』で「インチ」を基準としたもの
・「6分」は『俗称』で、B呼称の分母を8に固定したもの(現場でよく使う通称)
となります。「20A」「3/4」「6分」は、いずれも同じサイズの配管を表しています。

A呼称[mm] B呼称[inch] 俗称(通称)[inch] 外径D[mm]
6 1/8 1分 10.5
8 1/4 2分 13.8
10 3/8 3分 17.3
15 1/2 4分 21.7
20 3/4 6分 27.2
25 1 インチ 34.0



◆Q&Aで理解度チェック!

Q1 配管用鋼管は、一般配管用、水道用、熱伝達用など一般的に広く使用されている
Q2 配管の「呼び径」は、内径基準で統一されている

A1 〇:題意のとおりです。
A2 ×:「呼び径」は、外径基準で統一されています。


■福田洋市
◆専門分野:設備保全支援
◆TPM:個別改善、自主保全、計画保全、品質保全、教育訓練、管理間接、安全・衛生・環境

輸送機器メーカーにて製造、保全、安全衛生等の部門で多くの資格を取得しながら経験を積んだ後、工場長として会社統合、工場再編成、生産統合、海外工場支援指導等にあたる。さらに、生産アドバイザーとして生産システム整備や若手人材育成などに携わり、2022年より現職。豊富な実務経験に基づいた、保全技能や改善手法の教育をベースとする人財育成に手腕を発揮している。

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