バルブ・配管編:【第64回】配管の種類と用途(2)

 配管材の中では鋼管が広く普及しており、その製造方法から「継目なし鋼管」と「溶接鋼管」に大別されます。

 「継目なし鋼管」は「シームレス鋼管」とも呼ばれ、圧延、磨き、定径、絞りなどのロール機に連続的にかけられて、最終工程まで仕上られます。

 「溶接鋼管」は「シーム鋼管」とも呼ばれ、溶接や鍛接によって鋼管の長手方向に継目(シーム)のある配管となります。配管の長手方向に平行で真っすぐな継目がある「ストレートシーム鋼管」と、らせん状の継目がある「スパイラスシーム鋼管」があります。一般に、小径管は「ストレートシーム鋼管」、大径管は「スパイラルシーム鋼管」が用いられています。

 下表に、主な配管用鋼管の種類と用途を示します。

配管用鋼管の種類と用途

名称 JIS規格 主な用途
配管用炭素鋼鋼管

JIS G 3452(SGP)

使用圧力の比較的低い蒸気、水、油、ガスおよび空気などの配管用
圧力配管用炭素鋼鋼管 JIS G 3454(STGP) 623K(350℃)以下で使用する圧力配管用
高圧配管用炭素鋼鋼管 JIS G 3455(STS) 623K(350℃)以下で使用圧力の高い高圧配管用
高温配管用炭素鋼鋼管 JIS G 3456(STPT) 623K(350℃)を超える温度で使用する配管用
配管用アーク溶接炭素鋼鋼管 JIS G 3457(STPY) 用圧力の比較的低い蒸気、水、油、ガスおよび空気などの配管用
配管用合金鋼鋼管 JIS G 3458(STPA) 主として高温度の配管用
配管用ステンレス鋼管 JIS G 3459(SUSPT) 耐食用、耐熱用および高温用に使用する配管用
低音配管用鋼管 JIS G 3460(STPL) 氷点下のとくに低い温度で使用する配管用

『機械保全技能ハンドブック・機械要素編』(JIPM刊)p.354の表をもとに制作




<ひとくちメモ>  現在の水道管の材質は?

水道管には「金属管(鉄管)」が用いられているイメージでしたが、近年では「ポリ管」や「VP(塩化ビニール)管」が主流です。

「ポリ管」は耐震性や耐食性に優れており、軽くて取り付けも簡単です。ただし、太陽光に弱いため屋外施工の場合は注意が必要です。

「VP管(ポリ塩化ビニル)」も軽くて加工が簡単で、安価なこともあって、よく使用されています。ただし、紫外線や衝撃に弱く、とくに低温時に破損しやすいというデメリットがあります。そのため給湯配管には使用できません。

最近では、より衝撃に強い「HIVP管」と「樹脂管(架橋ポリエチレン管・ポリブデン管)」が主流になってきています。



<こんなときどうする> 水道の配管(鋼管)が折れた!

家庭の庭に水を撒く水道管が、鋼管ねじ部から腐って折れてしまったら、どうしたらよいでしょう。一番は「止水」です。折れた場所にもっとも近いバルブを閉めましょう。その後は、専門業者に修復を依頼することになりますが、折れた部分を含めて鋼管からポリ管やVP管といった、腐食しない管に部分変更をお願いするとよいでしょう(鋼管とポリ管等を異種継手で繋ぐ)。



◆Q&Aで理解度チェック!

Q1 ストレートシーム鋼管は、主に大径口の配管に使用されている
Q2 配管用合金鋼鋼管は、主として高温度の環境で使用されている

A1 ×:ストレートシーム鋼管は、小径口の配管に使用されています。
A2 〇:題意のとおりです。


■福田洋市
◆専門分野:設備保全支援
◆TPM:個別改善、自主保全、計画保全、品質保全、教育訓練、管理間接、安全・衛生・環境

輸送機器メーカーにて製造、保全、安全衛生等の部門で多くの資格を取得しながら経験を積んだ後、工場長として会社統合、工場再編成、生産統合、海外工場支援指導等にあたる。さらに、生産アドバイザーとして生産システム整備や若手人材育成などに携わり、2022年より現職。豊富な実務経験に基づいた、保全技能や改善手法の教育をベースとする人財育成に手腕を発揮している。

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