バルブ・配管編:【第66回】管継手の種類と特徴

 管継手も管(パイプ)と同じく、使用流体(気体等を含む)、使用環境、施工条件によって選択します。また、設備の分解、組立、交換、清掃点検などの保全性も十分に考慮する必要があります。

 管を継ぐ方式として、ねじ込み継手、フランジ継手、溶接継手、ソケット継手、伸縮継手などがあります。下表に、主な管継手の種類と特徴を示します。

主な管継手の種類と特徴

継手名称 説明 材料 圧力 温度 流体
 ねじ込み継手  管の端に管用ねじ(JIS B 0203)を切り、ねじ込んで使う 可鍛鋳鉄鋼管

 0.981MPa
(10kgf/㎠)

1.96 MPa
(20 kgf/㎠)

  水、油、蒸気、空
気、ガス
 フランジ継手  管の端部に鋳出し、ねに込み、溶接などの方法によりフランジを取り付け、ガスケット・パッキンを入れ、ボルト・ナットで締め付けて配管を連結、または機器、弁栓、容器などを接合する 鋳鉄、可鍛鋳鉄、鋳鋼、鋼板、青銅鋳物、黄銅鋳物

JIS規格
0.196MPa (2kgf/㎠)

6.18MPa (63kgf/㎠)

   
 溶接継手  鋼管を接続する場合、溶接による方法がある。この方法は永久継手で、一度取り付けたら外すことができない 鋼管 高圧、高温の配管  
伸縮継手  ベロー型

 ベロー型伸縮継手は、配管の伸縮量をベロ一で吸収するものであり、単式と複式がある。使用範囲は非常に広い。

 

伸縮量
単式20-100mm
複式は2倍

ステンレス鋼
軟鋼板
青銅

 一般的には低圧、高圧用もある

  低圧蒸気、
水、空気、ガス
排気系の大口径もある
 すべり型

 すべり型伸縮継手はケースとはめ管をパッキンにより気密を守り、洩を防ぐ。伸縮による吸収は、はめ管の摺動により吸収する構造である

 

伸縮量
50-300mm

 

【本体】
鋳鉄、青銅

 

【はめ管】
横道
クロムめっきした鋼または合金 

0.981MPa (10kgf/㎠)

1.96 MPa
(20kgf/㎠)以下

 

水、低圧蒸気 

『機械保全技能ハンドブック・機械要素編』(JIPM刊)p.356の図をもとに制作




<ひとくちメモ>  配管のスケジュール番号

管(パイプ)は外径を基準とした「呼び径」で統一されていますが、菅の肉厚は「スケジュール番号:Schedule Number(略称:Sch.No.)」で表示されています。アメリカが1950年代から用いている肉厚体系で、スケジュール番号は10〜160があります。このスケジュール番号ごとに肉厚が決められており、番号が大きいものほど外径が同じでも肉厚が大きくなっています。

Sch.№=10P/Sa(SI単位)
P:管の内圧〔MPa(N/㎟)〕、Sa:材料の許容応力〔MPa(N/㎟)〕





◆Q&Aで理解度チェック!

Q1 管の「呼び径」が同じであれば、肉厚も同じである
Q2 ベローズ型伸縮継手は、振動吸収、地盤沈下、耐震対策等に使用される

A1 ×:「呼び径」が同じでも、スケジュール番号が違えば肉厚が違います。
A2 〇:題意のとおりです。


■福田洋市
◆専門分野:設備保全支援
◆TPM:個別改善、自主保全、計画保全、品質保全、教育訓練、管理間接、安全・衛生・環境

輸送機器メーカーにて製造、保全、安全衛生等の部門で多くの資格を取得しながら経験を積んだ後、工場長として会社統合、工場再編成、生産統合、海外工場支援指導等にあたる。さらに、生産アドバイザーとして生産システム整備や若手人材育成などに携わり、2022年より現職。豊富な実務経験に基づいた、保全技能や改善手法の教育をベースとする人財育成に手腕を発揮している。

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