バルブ・配管編:【第68回】バルブの種類と特徴・用途 ②玉形弁(グローブバルブ)

 玉形弁は、仕切弁に次いでプロセス配管に多く使用されています。仕切弁と異なり、弁体が弁座に円すい状に接触して、流れを止めるタイプが一般的です。

 閉塞性が良く、「ストップバルブ」とも言われます。流体は弁体を押し上げる方向から流れ、弁体と弁座の間を通るので、その隙間を調整することで流量調整弁として使用できます。

 玉形弁には、弁箱の入口と出口の中心線が一直線上にある「ストレートタイプ」と、弁箱の入口と出口の中心線が直角をなす「アングルタイプ」があります。構造上、流れる方向が決められており、弁箱に方向が表示されています。

名称 特徴 用途

玉形弁(グローブバルブ)


玉形弁

 

[長所]
・気密性が良く完全閉塞できる
・流量調整が可能
・寿命が長い
・開閉がゲートバルブに比べ迅速


[短所]
・全開時の圧力損失が大きい
・面間寸法が大きい
・閉作業時トルクが大きい(重い)
・大口径には適さない

・水道の蛇口
・流量調整弁

グローブバルブの構造




<ひとくちメモ>  「圧力損失」とは

「圧力損失」とは、簡単にいうと流体の流れの勢いが減少することです。配管がまっすぐでも、流体は配管側面を接触しながら流れるので、少しずつ圧力損失が生じます。バルブや継手を通ると、流れの形や方向が変わるので、さらに圧力損失が増加します。設計時には、圧力損失が最小限になるように、配管の種類、大きさ、配管経路などが考慮されます。





◆Q&Aで理解度チェック!

Q1 玉形弁(グローバルブ)は、流量調整弁として多く利用されている
Q2 玉形弁(グローバルブ)は、仕切弁よりも圧力損失が小さく、流れる方向もどちらでもよい

A1 〇:題意のとおりです。
A2 ×:玉形弁は、仕切弁よりも圧力損失が大きくなります。また、流れは一方向のみです。


■福田洋市
◆専門分野:設備保全支援
◆TPM:個別改善、自主保全、計画保全、品質保全、教育訓練、管理間接、安全・衛生・環境

輸送機器メーカーにて製造、保全、安全衛生等の部門で多くの資格を取得しながら経験を積んだ後、工場長として会社統合、工場再編成、生産統合、海外工場支援指導等にあたる。さらに、生産アドバイザーとして生産システム整備や若手人材育成などに携わり、2022年より現職。豊富な実務経験に基づいた、保全技能や改善手法の教育をベースとする人財育成に手腕を発揮している。

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