バルブ・配管編:【第70回】バルブの種類と特徴・用途 ④蝶形弁(バタフライ弁)

 蝶形弁は、弁棒に円板状の弁体を取り付け、弁棒を中心にして回転させることによって、弁箱側の弁座に接触し管路を閉じます。弁体が流れと平行の位置で全開となるので抵抗が少なく、90°の回転で開閉ができ、取付けスペースも少なくてよいのが特徴です。

 本来は完全閉止が望めない構造なので、低圧の水系統などに用いられていましたが、近年は技術の進歩で完全閉止も可能となり、プロセス配管などに需要が拡大しています。

名称 特徴 用途

蝶形弁(バタフライ弁)
バタフライバルブ

 

[長所]
・流量調整が可能
・開閉が迅速にでき、開閉トルクが小さい
・省スペースで設置可能
・小口∼大口径まで対応できる
・管内にゴミがたまりにくい
・圧力損失が小さい(全開時)

 

[短所]
・高温・高圧に制限がある

・機械室など狭い場所
・食品、化学設備など

バタフライ弁の構造




<ひとくちメモ>  蝶形弁とキャビテーション

蝶形弁を小さい開度で使用すると、速い流速で渦が発生することにより圧力が低下し、キャビテーションが発生します。キャビテーションは振動や騒音の原因となるだけでなく、弁体や配管の損傷の原因になる恐れがあります。蝶形弁の流量調整(低流量時)を行う際は、キャビテーションに注意が必要です。最近では、弁体の下流側に整流板を設け、キャビテーションの発生を抑制する製品も商品化されています。





◆Q&Aで理解度チェック!

Q1 蝶形弁(バタフライ弁)は、流量調整に不向きである
Q2 蝶形弁(バタフライ弁)の特徴は、コンパクトで省スペース化が可能である

A1 ×:蝶形弁は、流量調整が可能です。
A2 〇:題意のとおりです。


■福田洋市
◆専門分野:設備保全支援
◆TPM:個別改善、自主保全、計画保全、品質保全、教育訓練、管理間接、安全・衛生・環境

輸送機器メーカーにて製造、保全、安全衛生等の部門で多くの資格を取得しながら経験を積んだ後、工場長として会社統合、工場再編成、生産統合、海外工場支援指導等にあたる。さらに、生産アドバイザーとして生産システム整備や若手人材育成などに携わり、2022年より現職。豊富な実務経験に基づいた、保全技能や改善手法の教育をベースとする人財育成に手腕を発揮している。

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