バルブ・配管編:【第74回】配管の保全(2)

 腐食は発生する形態によって、全面腐食と局部腐食に大別されます。

 全面腐食は、金属がほぼ一様に減肉するもので、均一腐食とも呼ばれます。一般的に、炭素鋼など耐食性が比較的低い材料に起こりやすいという特徴があります。

 局部腐食は、さらに孔食(ピッチング)、すき間腐食、粒界腐食、異種金属接触腐食(ガルバニック腐食)、応力腐食割れ(SCC)などに分けられます。以下に、それぞれの主な特徴を説明します。

●孔食(ピッチング)

 局部腐食によって部分的なへこみ、孔、みぞなどが生じる。材料が不均一な場合、あるいは局所に欠陥のある場合(偏析や不純物介在など)に起きます。はじめは針穴程度でも、時間の経過とともに孔径や深さを増して、ついにせん孔する例もあるので、軽視してはいけません。

孔食

●すき間腐食

 材料の深い傷、フランジ部、配管と配管保持金具の間など、液の停滞しやすい狭い部分に発生しやすい腐食です。たとえば、ガスケットとフランジの接続部分などに発生します。

すきま

●粒界腐食

 金属の結晶を結合させている炭化物のバインダーすなわち粒界が浮力され、結晶の結合力が弱くなって金属全体が崩壊します。これは18-8ステンレス鋼の溶接部に起こりやすく、溶接線の溶体化処理をして防ぎます。溶体化処理とは、母材の熱影響に析出した炭化物を1100℃で最溶解し、オーステナイト地に固溶させて急冷し、腐食抵抗を増大させる焼きなまし処理法です。

粒界

●異種金属接触腐食(ガルバニック腐食)

 金属を電解質溶液に浸すと、イオン化傾向の強い金属が溶体中に溶けだす現象。各種金属のイオン化傾向には優劣がある。但し、優劣は使用環境により変化することがあり、同じ金属でも流体の温度や濃度が部分的の異なると優劣も違ってくる。たとえば、海水線に鋳鉄弁を用いる場合、要部が青銅のきは、要部とせっしょくする本体鋳鉄部分が溶け出す。イオン化傾向の強いMg板が犠牲陽性となって、地下埋設鋼管を保護する防食法もある。

異種金属

●応力腐食割れ(SCC)

 腐食性環境の下で、菅の製作時の残留応力、取付時の不良による応力、運転時の応力などによって結晶粒を貫通する割れが発生することがあります。この割れは、腐食性物質と接触した応力状態の個所だけに起こる現象です。例として、溶接残留のある溶接個所付近、あるいは炭素鋼のアルカリ脆性、ステンレス鋼の塩化物割れ、高張力鋼の硫化物割れなどがあります。
 ちなみに、30%苛性ソーダ溶液配管では、60℃以上の場合、溶接線は焼きなましを行ってSCCを防ぎます。

SCC




<ひとくちメモ>  腐食はなぜおこるのか?

図のように、金属(鉄)の表面に水が付着すると、空気中から酸素が吸収され、鉄からは鉄イオンが溶けだす。この酸素と鉄イオンが結合して酸化鉄、つまりさびが発生します。

腐食

 

金やプラチナなどは酸化還元電位※が高く、腐食することはほぼありません。 しかし、酸化還元電位が低くなると湿食を受けやすくなります。 身近な金属では、

銅>すず>鉄>亜鉛>アルミニウム

といった順番に腐食しやすくなります。


※酸化還元電位とは、酸化させる力と還元させる力の差を電位差で表した数値。この数値がプラスなら酸化力が高く、マイナスなら還元力に優れていることを表しています。金属の酸化しやすさは、酸化還元電位によって決まります。酸化還元電位が低い金属は腐食しやすいのが特徴です。



◆Q&Aで理解度チェック!

Q1 ガルバニック腐食では、貴の金属(SUSなど)が腐食し、卑の金属(鉄など)が腐食しない
Q2 銅はすずより、腐食しやすい

A1 ×:卑の金属が腐食し、貴の金属が腐食しない。
A2 〇:題意のとおリ。


■福田洋市
◆専門分野:設備保全支援
◆TPM:個別改善、自主保全、計画保全、品質保全、教育訓練、管理間接、安全・衛生・環境

輸送機器メーカーにて製造、保全、安全衛生等の部門で多くの資格を取得しながら経験を積んだ後、工場長として会社統合、工場再編成、生産統合、海外工場支援指導等にあたる。さらに、生産アドバイザーとして生産システム整備や若手人材育成などに携わり、2022年より現職。豊富な実務経験に基づいた、保全技能や改善手法の教育をベースとする人財育成に手腕を発揮している。

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