TPM鉄則13:強制劣化から自然劣化へ
どのようにメンテナンスを行うかによって、設備の劣化するスピードは大きく変化します。設備を寿命まで使い切るのは、私たち設備を使う側の責任です。
強制劣化と自然劣化
劣化とは、ストレスなどにより強度や機能が低下することです。これを設備に置き換えてみましょう。設備はていねいに扱っても劣化します。正しい操作・運転をしていても、時間とともに物理的に進行してしまう劣化を自然劣化といいます。
それに対して、清掃や給油、使用条件などの決められた事項を守らないために、急激に設備劣化が進む状態を強制劣化といいます。たとえば、給油が行われず摩擦抵抗が高くなることで故障したり、使用条件を超えた高い温度や細かいホコリ・チリがある環境下での設備の運転などが原因で故障するものです。
強制劣化は劣化の進行が早い
これをわかりやすくしたのが下の図です。時間(横軸)の経過とともに劣化(縦軸)は進行します。自然劣化の状態であっても設備のストレスによる強度低下は避けられず、劣化を放置しておくと、機能限界(線)に至り、さらに時間が経過すれば、故障することになります。これが強制劣化の状態になると、劣化の進行が、自然劣化より早まったり急に変化したりします。こうなると「この前、新品に換えたばかりなのにまた故障した」といったことになってしまいます。
■強制劣化を排除しよう
そこで、強制劣化を排除して自然劣化の状態にするためには、基本条件(清掃・給油・増締め)の整備が重要になります。
これを徹底して実施し強制劣化から自然劣化の状態にすることによって、時間がきたら復元する定期保全や、劣化の状態を測定して保全する予知・予防の基盤が整うことになるのです。