こんな小春日和の仮基準書 連載第6回
ここがポイント
自主保全仮基準書とは
自主保全・第1ステップの初期清掃で不具合を発見し、第2ステップの発生源・困難個所対策で、改善を行いました。次にオペレーターがしなければならないのは、行った改善を維持・管理するための決まりごと(行動基準)をつくることです。こうした行動基準を明確に記したドキュメントを自主保全基準書といいます。
第3ステップでは、この自主保全基準書の試作版というべき「自主保全仮基準書」を作成していきます。
サークル自らが決める
自主保全仮基準書の作成では、自分の担当する設備について基本条件(清掃、給油、増締め)の“あるべき姿”を明らかにし、これを維持するための行動基準をサークル自らが決めることが重要です。
とかくこうした基準はトップダウンで押し付けられることが多いため、結果として守られない・守りにくいケースが見られがちです。しかし、現場のサークルが守らなければならないことを自ら決めると、基準は守りやすくなります。
また、仮基準書作成の前提条件として、
・守るべき事柄と方法を明確にする
・守らなければならない理由をよく理解する(なぜ守らなければならないか。守らないとどうなるか)
・守れるだけの能力を身につける
・守れるだけの環境(たとえば時間)を整える
といった点があげられます。
作成のポイント
(1) 装置の姿図を描く
仮基準書作成の第1のポイントは、設備の簡単な姿図を描き、そこに清掃・給油・点検などをしなければならない個所を書き込むことです。絵に示すことで設備の急所の整理ができるだけでなく、新人オペレーターの教育ツールとしても活用することができます。
描き終わったら、次にその図と設備を見ながら、清掃・給油・点検をしなければならない項目について「作業方法」「作業時間」「判定基準」「道具・処置法」「周期」「実施担当者」などを書き込んでいきます。その際、発生源・困難個所対策で行ったことや、それ以外の故障や不良から学んだことを盛り込みましょう。
(2) 確認の実施
2つ目のポイントは、書き込んだ内容を作業時間内に実際に守れるかどうかを確認することです。どのように作業内容を配分しても決められた時間内(一般的にシフトあたり10分以内)にやれないという場合は、作業方法の改善が必要となります。
現場・現物・現実を考慮しないで、守ることのできない基準書を作成しても意味がありません。あくまでも“守ることのできる”基準書を作成することが重要なのです。