【No.1】キーワードは「自分の設備は自分で守る」

まんが自主保全入門 No.1

「自主保全」とは、オペレーター1人ひとりが「自分の設備は自分で守る」ことを目的として、自分の設備の日常点検・給油・増締め・部品交換・修理・異常の早期発見・精度チェックなどを行っていくことです。設備の調子がいいか悪いかは、毎日機械に接しているオペレーターがいちばんよくわかるはずです。日頃から、ちょっとした増締めや給油・清掃をしていれば数多くの故障を未然に防ぐことができます。また、設備に触ったり動かしてみることによって、異常を感知することもできます。オペレーターが行う自主保全活動はTPMの大きな特色の1つです。

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キーワードは「自分の設備は自分で守る」

ここがポイント!

「設備に強いオペレーター」に必要な4つの能力

自主保全を行うためには、「設備に強いオペレーター」にならなければなりません。そのためには、単に機械を操作するだけでなく、清掃・給油・増締めなどの日常保全ができなければなりません。自動化が進めば進むほど、設備も複雑・高度になります。そして、不具合を早期に発見する必要性が大きくなっていきます。
「設備に強いオペレーター」になるには、次の4つの能力が必要です。

 (1) 設備の異常を発見できる能力
 毎日の業務の中で、「設備が故障して停止した」「不良品が出た」というように、結果として現れた異常については、誰でも簡単に発見できます。
 しかし、オペレーターにもっとも要求されるのは、「これはおかしいぞ」という異常の前兆を感じ取る能力です。「故障しそうだ」「不良が出そうだ」という原因系の異常を見落とすことなく、早期に発見する──これが大切なのです。

 (2) 異常を処置・回復する能力
 次に必要なのが、発見した異常を迅速・的確に処置して、元の状態に回復する能力です。そのための技術や知識を身に付けることは非常に大事です。しかし、仮に知識や技術が不足していても、その異常を正確に上司や保全部門に報告できるような判断力を身に付けることも必要です。

 (3) 条件を設定する能力
 異常を発見しても、“なんとなく”では判断基準にバラツキが生じ、処置が遅れかねません。そこで、設備を管理する上で、正常と異常の判定基準を定量的に決められることが3つめの能力です。
 決めた条件によって設備を動かし、条件が適正かを見直すことを繰り返すことによって、能力を高めることができます。

 (4) 設備を維持管理する能力
 設備を安定した状態に保つために、設定した条件やルールを確実に守り、設備の維持管理をしっかりチェックできることが必要なのはいうまでもありません。もし、条件やルールが守られない場合は、原因をしっかり究明し改善していきます。

これらの能力を身に付けた人こそ、原因系に異常を発見し、それらを未然に防ぐ処置が行える「設備に強いオペレーター」だといえます。

自主保全活動は、確実にレベルアップするために7つのステップに分かれています。このステップ展開が、自主保全の大きな特色でもあります。連載3回目からステップごとに解説していきます。

コラム:技術を身に付けるには?
オペレーターに求められる4つの能力を一度に高めるのは難しいことです。レベルアップを図るには、とにかく設備に触れてみましょう。実際に触れてみれば、設備の不具合を発見するだけでなく、見付けた不具合を発生させないためには、どのような改善が必要かといった意欲が自然に湧いてきます。
また、設備の構造・機能を理解することも必要です。そのためには、オペレーター仲間と協力して、簡単な設備の構造図や潤滑系統図などを描いてみることが役立ちます。
このような作業の積重ねによって、確実に技術を身に付けていきましょう。

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【No.2】自主保全7ステップ展開は一歩一歩確実に進める

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