【No.4】キレイだけじゃなく不具合を見つけてこそ「初期清掃」

まんが自主保全入門 No.4

前回は、自主保全活動をスムーズに立ち上げるためのゼロステップにおいて、大切な活動の1つである5Sについて学びました。5Sを効率良く進めて導入準備が終わったら、いよいよ自主保全活動のスタートです。スタートとなる第1ステップでまず重要なのが「初期清掃」。誰もが“やらないよりはやったほうがいい”と思っている清掃ですが、清掃の本当の意味を知らないと正しい成果が得られません。それでは、なぜ清掃が必要なのでしょうか。ここでは清掃の本当の意味を理解するとともに、そのポイントについて学んでいきましょう。

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キレイだけじゃなく不具合を見つけてこそ「初期清掃」のまんが

ここがポイント!

「清掃は点検なり」

 初期清掃というと、清掃だけが強調されてただキレイにすればいいと思われがちです。しかし表面だけをキレイにしても、設備の不具合を見つけられなければ、それは単なる“掃除”であって清掃とはいえません。「清掃」とは、設備の隅々まで手を触れ、目で見ることによって微欠陥や振動、温度、音などの異常を発見するとともに、それらの発見を容易にすることなのです。
 長い間、手入れせずに運転が続けられた設備をいったん隅々まで清掃すると、200~500件にも及ぶ欠陥が抽出されることもあります。ゴミ、汚れはもちろんですが、設備のガタ、摩耗、漏れ、クラックなど微欠陥との相乗作用による異常な劣化やトラブルを防ぐには、清掃を通じてこれらを抽出することがもっとも有効な手段となります。
 このように徹底的に清掃していくと、「変だな」「おかしいな」という不具合が数多く見つかるようになり、ゴミ、汚れ、異物などの弊害についての理解も深まります。つまり、設備本来の姿を想定したうえで点検しているのです。これが「清掃は点検なり」といわれる理由です。

初期清掃の効果

 初期清掃の効果は、以下の4つにまとめることができます。

  1. 設備の強制劣化が排除される
  2. 設備がキレイになることで、不具合を見つけやすくなる
  3. 清掃という行為そのもの、つまり清掃することにより設備に触り、興味を持ち、愛着を感じる
  4. オペレーターの不具合を見る目が養われる

 設備が見違えるようになると、「やる気」が生まれます。オペレーターが不具合を摘出することで、「やる腕」が磨かれます。また改善すべき不具合も明らかになり、改善への意欲が生まれてきます。それが第2ステップの活動への足がかりとなり、自主保全活動の活性化にもつながるのです。

不具合を見つけられれば合格!

 それでは、どこまでやれば合格なのでしょうか。
結論からいうと、
・設備が見違えるようになっている
・不具合を見つけている
といったレベルといえます。ただし、どれくらいキレイか、というだけではなく、どの部分まで清掃してあるかといった見方も必要です。たとえば、自動車でいえば外側や車内だけでなく、エンジンルーム内やトランク内部なども清掃すれば、新しい発見があるかもしれません。結局は、オペレーターが設備について興味を持ち、改善の意欲を養うことがもっとも大切なことなのです。

コラム:微欠陥とは?
 一般的に欠陥の明確な定義はありませんが、大欠陥、中欠陥、微欠陥と区分されています。微欠陥については『スキル管理』(中井川正勝著/日本能率協会)の中で、「微欠陥とは、1つだけ独立して発生しても被害はないが、多数の微欠陥が発生すると、相乗作用により品質、稼動率上の被害を引き起こす欠陥である」と定義されています。つまり、従来の常識から考えれば一見なんでもない、こんなものかと見逃しやすいもので、結果に与える確率が小さいと考えられるゴミ、汚れ、ガタ、摩耗などが微欠陥です。しかし微欠陥が数多く発生すると、相乗作用で不良や故障などの被害を引き起こしてしまうのです。

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