潤滑・給油編:【第2回】潤滑油の粘度

 粘度とは、潤滑油の“粘(ねば)さ”のことです。

 粘度が高い潤滑油はドロドロしています。厚い油膜が形成されるので、摩擦抵抗は大きくなります。一方、粘度が低い潤滑油はサラサラしています。薄い油膜が形成されるので、摩擦抵抗は小さくなります。

 こうした特徴を活かすために、一般的に高速回転する機械には低粘度の潤滑油、重荷重の機械には高粘度の潤滑油を使用します。たとえば、重荷重の機械に低粘度の潤滑油を使用すると、接触面の圧力に耐えきれなくなって流体潤滑が保持できなくなり、焼付きなどを引き起こすことになります。

  低粘度の潤滑油 高粘度の潤滑油
油の状態 サラサラしている ドロドロしている
油膜 薄い 厚い
摩擦抵抗 小さい 大きい
主な用途 高速回転の機械の潤滑 重荷重の機械の潤滑



<ひとくちメモ> 「粘度」と「粘度指数」の違いに注意!

潤滑油の粘度は、温度によって大きく変化します。低い温度では粘度が高くなり、高い温度では粘度が低くなります。この粘度が変化する割合を示すのが「粘度指数」です。粘度変化が小さいものほど粘度指数は高くなり、良質な潤滑油といえます。



◆Q&Aで理解度チェック!

Q1 早い回転の機械には、油膜が強い「高粘度」の潤滑油を使用するとよい。
Q2 粘度変化が大きいものほど、幅広く使用でき良質な潤滑油である。

A1 ×:早い回転(高速回転)機械には、抵抗の小さい「低粘度」の潤滑油を使用します。
A2 ×:粘度変化が小さいものほど、粘度指数は高く良質な潤滑油といえます。


【筆者プロフィール】

■福田洋市
◆専門分野:設備保全支援
◆TPM:個別改善、自主保全、計画保全、品質保全、教育訓練、管理間接、安全・衛生・環境

輸送機器メーカーにて製造、保全、安全衛生等の部門で多くの資格を取得しながら経験を積んだ後、工場長として会社統合、工場再編成、生産統合、海外工場支援指導等にあたる。さらに、生産アドバイザーとして生産システム整備や若手人材育成などに携わり、2022年より現職。豊富な実務経験に基づいた、保全技能や改善手法の教育をベースとする人財育成に手腕を発揮している。

福田洋市についてもっと知る >

次へ 

潤滑・給油編:【第3回】潤滑油の添加剤

 前へ

【No.6】ロス改善の進め方② その他の改善