軸受編:【第12回】すべり軸受の異常現象

 すべり軸受の劣化・損傷とは異なりますが、通常運転の状態のときに何らかの原因で異常振動が発生することがあります。代表的な異常振動の現象は、「オイルホワール」と「オイルホイップ」の2つです。

 オイルホワールとは、軸の周速度、軸受の形、油の粘度、軸受荷重などの影響を受けることで、軸受の油膜が不安定となって発生する自励振動です。軸中心が軸受の中心を回る“振れ回り現象”で、その振動数は回転周波数の2分の1に近いのが特徴です。

 オイルホイップとは、オイルホワールの発生後に回転数を上げると危険速度における共振振動が現れ、さらに回転数を上げると危険速度の2倍以上のところで発生する激しい自励振動です。この状態以降に軸の回転数を上げても、振れ回りはこの回転数に固定されて激しく振動します。このとき、振れ回りの方向は軸の回転方向と同一で、軸受内の油は乱流状態となっています。高速回転軸において、非常に危険な現象といわれています。

オイルホワール

<ひとくちメモ> オイルホワールとオイルホイップの違いを再整理!

オイルホワールは回転速度の約2分の1の周波数で振れ廻る自励振動の現象です。
オイルホイップは軸の危険速度の約2倍以上の回転数で発生する自励振動です。



◆Q&Aで理解度チェック!

Q1 オイルホワールとオイルホイップは、どちらも自励振動の現象である
Q2 オイルホイップは、回転速度の約2分の1の周波数で発生する自励振動の現象である

A1 ◯:題記のとおリです。
A2 ×:オイルホイップは、軸の危険速度の約2倍以上の回転数で発生する自励振動です。


■福田洋市
◆専門分野:設備保全支援
◆TPM:個別改善、自主保全、計画保全、品質保全、教育訓練、管理間接、安全・衛生・環境

輸送機器メーカーにて製造、保全、安全衛生等の部門で多くの資格を取得しながら経験を積んだ後、工場長として会社統合、工場再編成、生産統合、海外工場支援指導等にあたる。さらに、生産アドバイザーとして生産システム整備や若手人材育成などに携わり、2022年より現職。豊富な実務経験に基づいた、保全技能や改善手法の教育をベースとする人財育成に手腕を発揮している。

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