歯車編:【第25回】歯車の材料
歯車に使用される主な材料は、炭素鋼や合金鋼が用いられる「金属材料」、銅合金やアルミニウム合金が用いられる「非鉄金属材料」、プラスチックなどを用いる「非金属材料」に分けられます。
一般的な動力伝達や錆や汚れを嫌う環境での使用、精密機械や医療設備などでの使用など、用途に合わせた材料を選択します。
歯車の材料と特徴・用途をまとめた表を以下に示します。
材料 | 種類 | 特徴 | 用途 |
金属材料 | 炭素鋼 | ・熱処理で強度アップが可能 ・材料により低歯車・高歯車強度まで対応 ・熱処理が前提 |
・一般動力伝達、自動車、減速機など ・高負荷、高トルク個所など |
合金鋼 | ・熱処理で強度アップが可能 ・材料により低歯車・高歯車まで対応 ・熱処理が前提 ・炭素鋼より更に強度・性能アップが可能 |
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鋳鉄 | ・振動を吸収する能力がある ・炭素鋼や合金鋼と比較して強度は弱いが加工性が良く、コストが安価 |
・大型歯車 ・鉄道用歯車など |
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ステレス鋼 | ・腐食しにくい ・一般鋼材と比較して高価 |
・食品機械・錆を嫌う環境 ・製紙機械・汚れを嫌う個所など |
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非鉄金属材料 | 合金鋼 | ・脆いので摩耗による発熱を防止する ・固い材料と組み合わせる |
・ウォームギア(ウォームホイール側) ・時計用精密ギアなど |
アルミニウム合金 | ・軽く、加工が容易 ・強度が弱い |
・軽負荷個所など | |
非金属材料 | プラスチック | ・自己潤滑性があり無給油で使用が可能 ・静寂な回転が得られる ・軽量で耐食性がある ・温度や湿度などに影響を受ける |
・医療設備、小型軽量機器、薬品機器 ・プラモデルなど |
<ひとくちメモ> 炭素鋼と合金鋼の違い 鋼に含まれる鉄(Fe)以外の5元素(炭素、シリコン、マンガン、リン、硫黄)で構成されているのが「炭素鋼」です。そして、炭素鋼にクロム、ニッケル、モリブデン、タングステンなどの元素をある一定以上添加したものが「合金鋼」です。合金鋼は添加する元素によって、耐食性、耐熱性、延性などが向上します。 |
◆Q&Aで理解度チェック!
Q1 歯車の材料として炭素鋼や合金鋼が広く使用されるが、熱処理を施すことが前提となっている
Q2 鋼で鉄以外の5元素とは、炭素、シリコン、マンガン、リン、ニッケルである
A1 ◯:題意のとおりです。
A2 ×:ニッケルは合金の添加元素です。
■福田洋市
◆専門分野:設備保全支援
◆TPM:個別改善、自主保全、計画保全、品質保全、教育訓練、管理間接、安全・衛生・環境
輸送機器メーカーにて製造、保全、安全衛生等の部門で多くの資格を取得しながら経験を積んだ後、工場長として会社統合、工場再編成、生産統合、海外工場支援指導等にあたる。さらに、生産アドバイザーとして生産システム整備や若手人材育成などに携わり、2022年より現職。豊富な実務経験に基づいた、保全技能や改善手法の教育をベースとする人財育成に手腕を発揮している。
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