材料一般編：【第28回】金属材料
前回の機械材料で取り上げた金属材料における「鉄鋼材料」について、少し詳しく説明します。
鉄鋼材料は、鋼材の性質に大きく影響する炭素含有量で分類されます。炭素含有量が少ないと、軟らかくなります。炭素含有量が多いと硬くなり、強度も強くなりますが脆くなる性質があります。
炭素鋼に1種類以上の元素を添加した鋼材が合金鋼です。代表的な合金鋼がステンレス鋼（SUS）で、クロム（Cr）とニッケル（Ni）が添加されています。合金鋼に添加されるその他の元素としては、マンガン（Mn）、タングステン（W）、モリブデン（Mo）などがあります。
下表に、鉄鋼材料と炭素含有量による分類、および炭素鋼とJIS規格名称を示します。
鉄鋼材料と炭素含有量
| 分類 | 炭素含有量（C：%） | 用途 |
| 純鉄 | 0.02％未満 | リレー、電磁石、電磁クラッチ、モーター鉄心など |
| 炭素鋼 | 0.02〜2.14% | 鉄筋構造物、船舶、自動車、橋ほか多種多様 |
| 鋳鉄 | 2.14〜6.67% | 自動車部品、大型歯車、大型ミッションケースなど |
| 合金鋼 | 炭素鋼に1種類以上の元素を加える | エンジン部品、自転車フレーム、工具など |
炭素鋼とJIS規格名称
| 炭素含有量 | 〜0.1% | 0.1〜0.25% | 0.25〜0.3% | 0.3〜0.6％ | 0.6〜2.14％ |
| 分類 | 低炭素鋼 | 中炭素鋼 | 高炭素鋼 | ||
| JIS規格名称 | SPC材 冷間圧延鋼板 | SS材 一般構造用圧延鋼材 | SK材 炭素工具鋼鋼材 | ||
| SC材 機械構造用炭素鋼鋼材 | |||||
| ＜ひとくちメモ＞ 「銅合金」の特徴 銅に金属または非金属を1種類以上加えたものが「銅合金」です。銅（Cu）と亜鉛（Zn）の合金である黄銅（真鍮）や、銅とスズ（Sn）の合金である青銅（砲金）などがあります。黄銅は5円玉、青銅は10円玉などに使用されています。ちなみに、1円玉はアルミニウム（Al）、50円・100円玉は白銅、500円玉は黄銅とニッケルの合金です。 |
◆Q&Aで理解度チェック！
Q1 炭素鋼は、0.02〜2.14％の炭素含有量で、もっとも多く使用されている金属材料である
Q2 黄銅は10円玉、トロフィー、美術工芸品、バルブなどに使用されている
A1 〇：題意のとおリです。
A2 ×：10円玉のほかトロフィー、美術工芸品、バルブなどに使用されるのは青銅です。黄銅は5円玉、トランペット、管楽器、アクセサリ—などに使用されています。
■福田洋市
◆専門分野：設備保全支援
◆TPM：個別改善、自主保全、計画保全、品質保全、教育訓練、管理間接、安全･衛生･環境
輸送機器メーカーにて製造、保全、安全衛生等の部門で多くの資格を取得しながら経験を積んだ後、工場長として会社統合、工場再編成、生産統合、海外工場支援指導等にあたる。さらに、生産アドバイザーとして生産システム整備や若手人材育成などに携わり、2022年より現職。豊富な実務経験に基づいた、保全技能や改善手法の教育をベースとする人財育成に手腕を発揮している。
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