締結編:【第43回】三角ねじと並面ねじ・細目ねじ

 ボルト・ナットで日常的に見られるものに、三角ねじがあります。ねじ山の形が正三角形に近いねじで、締結用ねじとして最も使用されています。三角ねじには、メートルねじ、ユニファイねじ、管用ねじなどがあります。これらの形状を❶に示します。

❶三角ねじの形状

三角ねじの種類

 ねじ山の角度は並目ねじ・細目ねじとも60°ですが、呼び径が同じ場合は並目ねじのピッチが大きく、細目ねじのピッチが小さくなります。
 ❷に、三角ねじの種類と特徴、主な用途を示します。また、❸に並目ねじと細目ねじの特徴をまとめます

❷三角ねじの種類と特徴
種類 記号 特徴 用途
メートルねじ メートル並目ねじ M  緩みにくい
(メートル系)
ねじ山角度60°
締結用ボルトなど
メートル細目ねじ M
ユニファイねじ ユニファイ並目ねじ W

緩みにくい
(メートル系)
ねじ山角度60°

ユニファイ細目ねじ W
ウィットねじ※ ウィット並目ねじ UNC  緩みにくい
(インチ系)
ねじ山角度55°
建設関連/水道関連など
ウィット細目ねじ UNF
管用ねじ 管用テーパねじ PT  気密性が良い
(インチ系)
ねじ山角度55°
管などの接続
管用並行ねじ PF


❸並目ねじと細目ねじの特徴
並目ねじの特徴 ナットの材質が弱い場合は細目ねじより強い
バリが強い
めっきに対してゆとりが大きい
腐食に対してゆとりが大きい。かじりが起こしにくい
脆い、割れやすい材料に対してはタップしやすい
大きな寸法になると細目ねじより強い
細目ねじの特徴

普通の材料に対しては並目ねじより強い

 締付け力が並目ねじよりも強い
 頭の近くまでねじ切リがしやすい
 切屑量が少なく、硬い材料にタップしやすい
 薄肉の部分に対してタップしやすく、山数も多く取れる
 比較的小さな寸法のねじは並目ねじよりも強い



<ひとくちメモ> 管用ねじの使い方

配管継手の気密性を高めるために、シールテープを巻く、または液体シール材を塗布します。また、Gねじ(管用ねじ)やRpねじ(平行雌ねじ)を使用していて漏れが発生した場合は、Rcねじ(テーバ雌ねじ)に変更してみましょう。テーバになっているので、平行ねじに比べて雄ねじと雌ねじの密着度が高くなります。



<こんなときどうする> 配管漏れが発生した場合

配管継手の気密性を高めるために、シールテープを巻く、または液体シール材を塗布します。また、Gねじ(管用ねじ)やRpねじ(平行雌ねじ)を使用していて漏れが発生した場合は、Rcねじ(テーバ雌ねじ)に変更してみましょう。テーバになっているので、平行ねじに比べて雄ねじと雌ねじの密着度が高くなります。



◆Q&Aで理解度チェック!

Q1 三角ねじ・ユニファイねじとも、ねじ山の角度は60°である
Q2 締付け時に、早く締め付けられるのは細目ねじである

A1 〇:題意のとおりです。
A2 ×:並目ねじの方がピッチは長いので、早く締め付けられます。


■福田洋市
◆専門分野:設備保全支援
◆TPM:個別改善、自主保全、計画保全、品質保全、教育訓練、管理間接、安全・衛生・環境

輸送機器メーカーにて製造、保全、安全衛生等の部門で多くの資格を取得しながら経験を積んだ後、工場長として会社統合、工場再編成、生産統合、海外工場支援指導等にあたる。さらに、生産アドバイザーとして生産システム整備や若手人材育成などに携わり、2022年より現職。豊富な実務経験に基づいた、保全技能や改善手法の教育をベースとする人財育成に手腕を発揮している。

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