締結編:【第44回】締結方法によるボルトの種類

 ボルトを選ぶ場合には、頭部形状(六角ボルト、六角穴ボルト、皿ボルトなど)や、必要な締付け力などに着目します。また、締結の方法によって、通しボルト、ねじ込みボルト、植込みボルト、リーマボルトなどの種類があります。

 今回は、主な締結の方法によるボルトの種類と特徴・用途を下表にまとめます。

ねじの特徴と用途

参考:入門・機械&保全ブックス2 機械要素の本②(日本プラントメンテナンス協会)






<ひとくちメモ> 植込みボルトと両ねじボルトの違い

植込みボルトも両ねじボルトも頭部がなく両端にねじ加工がされている製品で、形状がよく似ており同一製品と思いがちですが、実は別物です。植込みボルトはJISで規格されており、植込み側ねじ部の有効径がわずかに太くなっています。また、ねじ先形状で植込み側は面取り、ナット側は丸先となっています(両ねじボルトは両端とも同じ形状)。その他に、ねじ部の長さの管理方法、呼び(L)寸、ねじ部公差などに違いがあるので、図面をよく確認してください。



<こんなときどうする> ボルトがせん断力を受ける場合

ボルトは引っ張り強度が保証されていますが、せん断力は保証されていません。したがって、せん断力を受けないように、「リーマボルトを使用する」「締結後にリーマ加工してピンを打ち込む」「シャーブロック溶接する(動く部分をブロック溶接で固定する)」などの対応が必要です。まずは設計上で、せん断力を受けないように設計をすることが大切でしょう。



◆Q&Aで理解度チェック!

Q1 六角穴ボルトは、六角ボルトが使えない個所、締結後頭部が出ると困る個所での使用に適する
Q2 スタッドボルトと両ねじボルトは、両端にねじ加工を施した同種のボルトである

A1 〇:題意のとおりです。
A2 ×:形状は似ていますが別物です。


■福田洋市
◆専門分野:設備保全支援
◆TPM:個別改善、自主保全、計画保全、品質保全、教育訓練、管理間接、安全・衛生・環境

輸送機器メーカーにて製造、保全、安全衛生等の部門で多くの資格を取得しながら経験を積んだ後、工場長として会社統合、工場再編成、生産統合、海外工場支援指導等にあたる。さらに、生産アドバイザーとして生産システム整備や若手人材育成などに携わり、2022年より現職。豊富な実務経験に基づいた、保全技能や改善手法の教育をベースとする人財育成に手腕を発揮している。

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