軸・軸継手編:【第52回】軸の種類、機能、特徴・用途②

 前回は、伝動軸、車軸、スピンドル軸、クランク軸を取り上げました。今回は、たわみ軸、スプライン軸、セレーション軸を紹介します。

 軸の種類は、以上の7つが適材適所で利用されています。皆さんの職場のどこに、どの軸が使われているかを一度確認してみましょう。

軸の種類

図は各種資料をもとに編集部で作成




<ひとくちメモ> モーター軸における中空軸のメリット

モーター軸には、中実軸と中空軸があります。中実軸は相手を伝動するためにキーや継手のカップリング、チェーン、チェーンホイルなどの伝達機器が必要です。一方、中空軸は中空にスプラインが施してあり、そこに伝達相手の軸をはめ込むだけで伝達が可能となり、伝達機器が不要で設備のコンパクト化が図れます。強度もほとんど変わらないので、よく利用されています。



<こんなときどうする> 軸から抜きたい!

錆、固着、焼付きなどで、軸からギアやスプロケットが抜けない場合の対処方法を紹介します。いろいろな方法がありますが、以下の方法1〜3の順番に試すのが簡易でおすすめです。


方法1:CRC(潤滑)スプレーを使用する
 プーラをセットして結合部にCRCスプレーを吹きかけ、しばらくしてからプーラの頭を叩きながら徐々に締め込む。都度、CRCスプレーを吹きかけてもよい。


方法2:ヒートガンやガストーチを使用する
 プーラをセットして、ヒートガンやガストーチなどで、ギアやスプロケットを温める(間違っても軸を温めないこと)。軸を濡れタオルで冷やしたあと、プーラの頭を叩きながら徐々に締め込む。


方法3:部品を切断する
 上記の方法1や2で抜けない場合は、軸を切断するか、部品を切断するしかないと思います。サンダーやガスを用いて切断しますが、再使用が不可となることや火気厳禁となるところなどに注意して作業を行いましょう。



◆Q&Aで理解度チェック!

Q1 モーターの中空軸タイプは、伝達機器が不要で設備のコンパクト化が図れる
Q2 軸からギアやスプロケットが抜けない場合は、軸を切断するのが最善である

A1 〇:題意のとおりです。
A2 ×:切断は、他の簡易な方法で抜けない場合に用いる方が良いでしょう。


■福田洋市
◆専門分野:設備保全支援
◆TPM:個別改善、自主保全、計画保全、品質保全、教育訓練、管理間接、安全・衛生・環境

輸送機器メーカーにて製造、保全、安全衛生等の部門で多くの資格を取得しながら経験を積んだ後、工場長として会社統合、工場再編成、生産統合、海外工場支援指導等にあたる。さらに、生産アドバイザーとして生産システム整備や若手人材育成などに携わり、2022年より現職。豊富な実務経験に基づいた、保全技能や改善手法の教育をベースとする人財育成に手腕を発揮している。

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