【NO.20】ロス別の改善ステップ⑭ 材料ロス

材料ロスとは

 材料ロスとは、製品の良品数量をつくるうえで必要な良品理論原料費と、実際に出庫(投入)した材料費とのコスト差である過剰材料費です。

 良品理論材料費はΣ(製品1個当たりの理論材料費×良品数量)で算出できます。出庫した材料費は、Σ(各材料の出庫数または量×単位当たりの購入コスト)で算出します。このコストギャップをすべて材料ロスとします。

 コストでなく重量で算出する方法もありますが、ここではコストでの改善の優先順位も見えるように金額で考えています。

 材料ロスの一例として下図に定義しました。

材料ロス

 材料のロスは大きく以下の4つに分けられます。

(1) ロット差ロス
 ロット差ロスとは、出庫単位と生産で使用する単位が異なることによって、廃棄せざるを得ない材料費のロスです。一度開封すると性能が変わってしまうので使い切らなければならないといった、使用期限が決まっている材料で発生します。

(2) 取りしろロス
 工程に投入されたものの、製品とならなかった材料費が取りしろロスです。つまり漏れ・こぼれや、切粉、端材といった工程内で目減りした材料費です。
 これらは、現場で把握したデータから算出することができる顕在ロスです。そのためには、ロスをきちんと定義して、回収・測定する習慣づけが大切です。ただし、1個当たりの製品重量を基準重量より多めに付けた場合などに発生する過剰付加ロスといった、単純にロスを測定できない場合は、加工前後の重量から算出することもあります。
 この取りしろロスには、現場の発生源対策などですぐにできる改善と、設備の信頼性や精度を上げる改善や、加工の仕方そのものの改善を実施しなければ削減できない技術者向けの難しいものが混在しています。課題と対策を明確にして改善を進めるようにしましょう。

(3) 理論差ロス
 実使用材料費と製品理論材料費(製品1個当たりの理論材料費×生産数)との差のロスです。このロスは潜在化しているので、計算によって算出することになります。
 取りしろロスがきちんと把握できていないと、この理論差ロスが非常に大きく出る傾向になります。理論差ロスがあまりにも大きいときは、取りしろロスの把握が十分ではないと考えましょう。

(4) 不良廃棄ロス
 廃棄ロスとは、不良コストロスに代表されるように、良品(商品)にならずに廃棄する材料費のロスです。不良ロスは、不良内容を不良モード・製品別などに層別し、不良ロス改善のステップを使用して改善していきます。
 材料ロスの改善では、ロスを発生させている悪さをつかむ必要があります。ロスの発生工程が複数ある場合は、それぞれの工程で取りしろロス、理論差ロス、廃棄ロスをきちんと把握していきましょう。また、品種で傾向が異なる場合も同様にロスの内容細かく分け、問題点を見えるようにすると、改善のスピードが向上します。

 ここまで紹介してきたのは、あくまで材料ロスの一例です。材料ロスは製品やつくり方によっても変わります。ロスの名称や継続的にロスを把握する方法、どのように層別すれば問題点が見えやすくなるかは、それぞれの特徴に合ったやり方で研究してください。



次回は「事務ロス」を解説します。


●著者プロフィール

大塚

大塚 寛弘 (おおつか のぶひろ)

日本能率協会コンサルティング
生産コンサルティング事業本部トータルコストマネジメントユニット
プロセス・デザイン革新センター
兼 設備管理イノベーションセンター チーフ・コンサルタント

日本プラントメンテナンス協会入職後、主に金属製品製造、電気・電子部品製造、輸送用機器、食品・飲料、製薬・医薬、製紙などの生産性向上、コスト低減、品質向上のテーマに取り組む。現場目線と経営目線の両面でのコンサルティング支援を行う。国内および海外の支援企業多数。現在はTPM全般、原価管理/原価低減、品質改善、IE、工場レイアウト計画、購買・調達など幅広いテーマに取り組んでいる。



鐘ヶ江

鐘ヶ江 克則(かねがえ かつのり)

日本能率協会コンサルティング
生産コンサルティング事業本部 プロダクションデザイン革新センター
兼 設備管理イノベーションセンター センター長
兼 デジタルイノベーション事業本部 スマートファクトリー推進室 チーフ・コンサルタント

大学卒業後、電気メーカーの生産技術者を経てJMACのコンサルタントに。生産戦略、生産方式、設備管理を専門領域とし、国内・海外の製造業において生産性改善、コストマネジメント、不良削減、在庫削減、リードタイム短縮など数多くのプロジェクトを支援。 現在、高度設備保全技術の研究及び設備保全業務のDXについて取り組んでおり、関係執筆も多数。

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