全員で目標に向かって方針展開で行動しよう!

楽しく仕事をしたい! そのためには?


 「仕事がつらい! イヤだ!」と感じるときはありませんか?

 突然発生した故障や大量の不良品に対応しなければならないときや、悪い作業環境で仕事をするときなどは、イヤだと感じるのではないでしょうか。ましてや労災・事故に対応する仕事は、本当につらいものです。しかし、これらの仕事は必要になった際には、やらざるを得ません。ですから、このような仕事をやらなくてすむようにすることが大事です。

 いろいろなトラブルを未然に防止する。そして、安全に安定した仕事をすることによって余裕を生み出す。さらに、その余裕を使って仲間やお客様が喜ぶ改善を、みんなで助け合いながら考えて実現する——その結果、会社に貢献することができて、自分たちの給与も向上(ちょっぴりかも……)することになれば、仕事がどんどん楽しくなっていくと思います。そのような仕事の仕組み(体制)をつくるプログラムが「TPM」です。

TPM活動の基本は“全きを保つ”こと

 TPM(Total Productive Maintenance)とは、「全員参加の生産保全」という意味で、保全が活動の基本です。ここでいう保全とは、修理ではありません。設備の“あるべき姿”を保つことです。生産活動を安全に安定して行うためには、設備だけでなく「原料・材料」「方法」「人」の3つにおいても、“全きを保つ”ことが必要となります。それができたうえで改善を行うことで、後戻りしない大きな飛躍が果たせるのです。

 TPMでは、あらゆるロスをゼロにするために、8本柱(個別改善、自主保全、計画保全、品質保全、安全・衛生・環境、初期管理、教育・訓練、管理間接)の活動に全員参加で取り組みます。実際のTPM活動では、それぞれの工場や事業場の事情に合わせて、この8本柱を取捨選択したり、統合したりして展開していきます。

全員で目標に向かって方針展開で行動する!

 TPM活動では、最初に自分たちがどのような姿を目指すのか、ありたい姿を考えることが大切です。そして、そのありたい姿と現状とのギャップからロスを見つけて、そのロスを潰していきます。そのためにTPM活動では、トップから現場までがそれぞれの立場で力を合わせて活動できるように方針展開を行います。

 そして、方針展開を実行する仕組みが「重複小集団」です。重複小集団とは、各階層がその機能を確実に発揮して、自ら行動できる集団となることができるように、各小集団のリーダーが上の階層のメンバーとして重複した役割を持つ仕組みです。TPMは全員参加の活動ですが、同じ時間に全員が同時に活動するということではありません。重複小集団の仕組みで方針展開に基づいて、1人ひとりがそれぞれの立場で主役として活動をすることが大事なのです。

小集団活動

▲方針展開を実行する重複小集団

市野 昌治プロフィール
◆専門分野:設備保全支援
◆TPM:自主保全、品質保全、安全・衛生
JMACプロフェッショナルアドバイザー TPMコンサルタント

ichino

精密機械メーカーで自動組立ライン制御システムやオンライン検査器の開発・設計に携わった後、化学メーカーで電気・計装設備の設計および設備管理に従事。プラントの改善と保安の維持に取り組むとともに、TPM活動も牽引する。常に現場の人を大切にする姿勢を貫き、ロス削減だけでなくトラブルの未然防止を実現することをライフワークとしている。海外経験も踏まえて「TPM活動はひとづくり」と実感しており、1人ひとりが考えて行動することを大切に、支援に取り組んでいる。


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