「QC7つ道具」はデータサイエンスの第一歩!

まずは「QC」のおさらいから

製造企業とくに製造現場で働く人であれば、「QC」という言葉を聞いたことがないという人は、ほぼいないでしょう。「QC」とはQuality controlの略で、日本では「品質管理」と訳されます。顧客に提供する商品およびサービスの品質を向上するための、企業における一連の活動体系のことです。

日本では第二次世界大戦後に、米国から招かれたW・エドワーズ・デミングによって紹介されました。デミングの教えを受けた製造企業の現場において品質管理手法は発展していき、組織の壁をなくした協業体制によって品質管理を推進する手法が確立しました。米国発の「QC」が、わが国の製造企業が今でも強味の1つとしている高品質のベースとなっているのです。

品質管理の実践で活用する「QC七つ道具」

品質管理を実践するにあたって、現場で発生している各種現象を数値的・定量的に分析する必要があります。つまりデータに基づいて話をすることであり、いま話題の「データサイエンス」の流れとも合致しています。データサイエンスには「QC検定」の要素も含まれており、QCをデータサイエンスの取組みの第一歩とすることも可能なのです。

QCの代表的な技法のひとつが「QC7つ道具」です。「QC7つ道具」で現象を可視化することで、問題点が誰でもすぐに理解できるほか、問題点の説明を容易に行えるようになります。

QC7つ道具

▲QC7つ道具

「QC7つ道具」の種類・特性を簡単に紹介します。

①グラフ

数値データのままでは状況を把握しにくいため、目で見て早く・正しく状況を知るためのもの。

②パレート図

改善を行う際に、発生している問題を原因別・損失金額別などに分類して、その件数の大きい順に並べて棒グラフおよび累計曲線を図に表したもの。

③特性要因図(魚の骨/フィッシュボーン図)

対応すべき問題に対して関連する原因の洗い出しを行うために、問題(特性)とその発生原因(要因)と考えられる事項とを矢印で結んで図示したもの。

④チェックシート

確認するべき要点や事項を、あらかじめ抜粋してまとめたもの。

⑤散布図

2つの対となるデータを横軸(原因系)と縦軸(結果系)としてプロットした図。2つの変量の相互関係を可視化するもの。

⑥ヒストグラム

データの傾向を判断できるように、データの平均値・分布を読み取るためのもの。

⑦-1 管理図

工程の管理を行うために、工程が安定状態にあるかどうかを把握する判断材料とする。

⑦-2 層別

データを同質なグループ(層)ごとに分けて分析するもので、問題の原因判別に活用するもの(下図)。

層別

▲層別

「QC7つ道具」といいながら8つ紹介したのは、管理図は折れ線グラフなのでグラフに含めるという定義と、層別は考え方なので7つ道具には含めないという定義があるからです。

「QC7つ道具」を使って改善に取り組もう!

「QC7つ道具」は現象を見える化する非常に有効な技法ですが、単にその形や描き方を理解するだけでなく、使用する目的をはっきりさせて適切な道具を選択することが重要です。いずれも決して難しい技法ではないので、身近な事例で実践しながら、1つひとつ着実に身につけていきましょう。


藤井 雅司プロフィール
◆専門分野:生産技術支援
◆TPM:個別改善、自主保全、品質保全

藤井

大手総合化学会社で工場内電気設備管理、システム設計・プログラミング業務等に従事後、大手半導体製造会社でTQC推進、QC教育、地区QCサークル活動幹事、TPM優秀賞・継続賞等のTPM推進、JIT生産推進に携わる。コンサルタントに転身後も、多くの業種・業態におけるTPM推進支援に加えて、書籍「『8の字展開』で進める品質保全」執筆のほか、「なぜなぜ分析」「PM分析」「QC手法」をはじめとする社内教育や公開セミナー講師でも非常に高い評価を得ている。

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