軸受編:【第17回】ころがり軸受の取扱い
ころがり軸受は数μmの寸法差で製作しているため、寸法精度は非常に高いものとなっています。したがって、ころがり軸受は購入時から設備に取り付けるまで、常に細心の注意を払うことが必要です。
【保管時の注意点】
- 湿気、ゴミ、ホコリが少ない場所で、高温や直射日光を避けて保管する
- 包装を十分に行って保管する(中古品でも防錆グリースの塗布、錆止め紙での包装を行う)
- 精度を保持するために、平坦な棚で保管する
- 下部に置いた軸受の油膜が破断する恐れがあるため、高く積み上げずに保管する
- できるだけ常温で保管する(50℃以上では防錆グリースが流れる恐れがある)
- 古い軸受から使用していく
【取付け時の注意点】
- 取付けの直前まで包装を開かない
- グリース潤滑の場合は洗浄せずに、そのまま取付け後にグリースを充てんする
- 高精度の軸受は、あらかじめ白灯油で洗浄して十分に乾燥させる(洗浄液を残さない)
- 軸受の取付け時は、手袋を使うか鉱油を手に塗ってから作業を行う
<ひとくちメモ> 手袋を使用した作業時の注意点 手袋を使って軸受を取り扱う場合は、綿の手袋は避けてください。綿の糸くずが軸受の内部に入って、早期故障の原因となることがあります。 |
◆Q&Aで理解度チェック!
Q1 軸受の保管は、効率化を図るために高く積んで室内に置くとよい
Q2 軸受の取扱い時は、綿の手袋は使用しない
A1 ×:下部の軸受の油膜が切れる恐れがあるので、高く積んで保管するのは避けてください。
A2 ◯:題意のとおりです。
■福田洋市
◆専門分野:設備保全支援
◆TPM:個別改善、自主保全、計画保全、品質保全、教育訓練、管理間接、安全・衛生・環境
輸送機器メーカーにて製造、保全、安全衛生等の部門で多くの資格を取得しながら経験を積んだ後、工場長として会社統合、工場再編成、生産統合、海外工場支援指導等にあたる。さらに、生産アドバイザーとして生産システム整備や若手人材育成などに携わり、2022年より現職。豊富な実務経験に基づいた、保全技能や改善手法の教育をベースとする人財育成に手腕を発揮している。
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