材料一般編:【第32回】非鉄金属(4)レアメタル

 今回は「レアメタル」について説明します。埋蔵量がきわめて少ないこと、抽出が経済的・技術的に難しくかつ手間がかかることから、「希少な金属=レアメタル」といわれています。

 リチウム、チタン、ニッケル、マンガンなどにレアアース(希土類元素)を加えた合計47元素を総称して、一般的にレアメタルと呼んでいます。

 現在、レアメタルは「産業の生命線」ともいわれ、

  1. 構造材料の添加剤
  2. 電子・磁石材料
  3. 機能性材料

などに使われます。

 1.の代表がステンレスで、鉄+クロムやニッケルを添加して耐食性を向上させています。
 2.はEVバッテリーが代表的で、リチウム、コバルト、ニッケルなどを使用しています。
 3.の代表例はタッチパネル、液晶パネル、太陽電池、光ファイバーなどのニューガラス製品などで、インジウムが使われています。

 主なレアメタルの元素と用途を、以下にまとめて示します。

元素 主な用途

リチウム

電池、陶器など

チタン

金属製品、医療機器(人工関節など)、航空機、自動車、原子力など

ニッケル

めっき、超硬合金工具、触媒、電池、ステンレス、耐熱材など

マンガン

電池、鉄鋼、肥料の原料など
プラチナ(白金) 燃料電池、触媒、磁性体、抗がん剤原料、宝飾品など
タングステン 鉄鋼、超硬合金工具、電子材料、触媒、電子ビーム発生源など
コバルト 超硬合金工具、ステンレス、メッキ、電池、磁性材、触媒、耐熱材など
レアアース類 磁性材、蛍光体、レーザー、精密機器部品、電池など



<ひとくちメモ> 希土類元素とは

レアアースは希土類元素とも呼ばれますが、希土類とは「希(まれ)な土類(アルミナや石灰などを示す)」という意味です。レアアース(希土類元素)は、31鋼種あるレアメタルの中の1鉱種で、スカンジウムおよびイットリウムの2元素と、ランタンからルテチウムまでの15元素の合計17元素の総称となります。



◆Q&Aで理解度チェック!

Q1 レアメタルは「希少な金属」といわれ、近代作業に必要不可欠な金属である
Q2 レアアース(希土類元素)は、31鋼種あるレアメタルの1鉱種で、合計17元素の総称である

A1 〇:題意のとおりです。
A2 〇:題意のとおりです。


■福田洋市
◆専門分野:設備保全支援
◆TPM:個別改善、自主保全、計画保全、品質保全、教育訓練、管理間接、安全・衛生・環境

輸送機器メーカーにて製造、保全、安全衛生等の部門で多くの資格を取得しながら経験を積んだ後、工場長として会社統合、工場再編成、生産統合、海外工場支援指導等にあたる。さらに、生産アドバイザーとして生産システム整備や若手人材育成などに携わり、2022年より現職。豊富な実務経験に基づいた、保全技能や改善手法の教育をベースとする人財育成に手腕を発揮している。

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