材料一般編:【第34回】非金属材料(2)プラスチックの種類と特徴

 前回は非金属材料が無機材料と有機材料に分類されることを説明しました。今回は、有機材料であるプラスチックについて掘り下げます。

 プラスチックには、加熱冷却で形状を繰りし変更できる「熱可塑性プラスチック」と、加熱すると次第に硬化して一度固まると再加熱しても軟化しない「熱硬化性プラスチック」があります。

 熱可塑性プラスチックは状態を変化させられるという性質を生かして、素材をリサイクルすることができます。なお、耐熱温度は低いものが多いです。また、熱可塑性プラスチックは全プラスチックの約9割を占めるといわれています。以下に、熱可塑性プラスチックの種類と特徴・種類をまとめて示します。

名称 特徴 種類
汎用プラスチック ・価格が安く、雑貨、包装、農業用に大量生産されている ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンなど
エンジニアリングプラスチック(エンプラ) ・機械的強度に優れるため、力のかかる用途などに用いられる
・汎用プラスチックと比べて、他の非炭素元素やベンゼンなどを含むために高機能で、値段も高い
・酸やアルカリに弱い
ナイロン、ポリアセタール、ポリカーボネートなど
スーパーエンジニアリングプラスチック ・エンジニアプラスチックの中で、とくに耐熱性などに優れている ポリスルホン、ポリアリレート、液晶ポリマーなど

 熱硬化性プラスチックは機械的強度と耐熱性に優れている反面、硬いという特徴を持つため熱可塑性プラスチックと比べると耐衝撃性に劣ります。主な熱硬化性プラスチックは、ベークライトなどのフェノール系樹脂やエポキシガラスなどのエポキシ系樹脂です



<ひとくちメモ> 熱硬化性プラスチックは絶対に変形しない?

熱硬化性プラスチックの分子構造は「架橋結合」という、とても強固な結合のために分子の熱運動が制限され、温度変化による影響を受けにくくなっています。ただし、まったく加熱の影響を受けないというわけではなく、加熱によって若干可塑性が出るものもあります。



◆Q&Aで理解度チェック!

Q1 プラスチックは、「熱可塑性プラスチック」と「熱硬化性プラスチック」に分類される
Q2 熱硬化性プラスチックは硬いという特徴を持つため、熱可塑性プラスチックと比べて耐衝撃性に優れる

A1 〇:題意のとおりです。
A2 ×:機械的強度と耐熱性に優れている反面、硬いという特徴を持つため熱可塑性プラスチックと比べると耐衝撃性に劣ります。


■福田洋市
◆専門分野:設備保全支援
◆TPM:個別改善、自主保全、計画保全、品質保全、教育訓練、管理間接、安全・衛生・環境

輸送機器メーカーにて製造、保全、安全衛生等の部門で多くの資格を取得しながら経験を積んだ後、工場長として会社統合、工場再編成、生産統合、海外工場支援指導等にあたる。さらに、生産アドバイザーとして生産システム整備や若手人材育成などに携わり、2022年より現職。豊富な実務経験に基づいた、保全技能や改善手法の教育をベースとする人財育成に手腕を発揮している。

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