締結編:【第41回】ねじの分類と基本構造

 私たちの身のまわりには、ボルト・ナットが多く使用されています。締結(繋いで固定する)する部分には欠かすことができません。

 ねじには、ねじ山と呼ばれるらせん状の溝が彫られています。外面にねじ山が彫られている雄ねじを「ボルト」、内面にねじ山が彫られている雌ねじを「ナット」と呼びます。一般に、ねじといえばボルトのことを指します。 

 ビスは、小ねじのことをいいます。ドライバー(プラス/マイナス)で回す程度の大きさのねじを指しています。ボルトもナットもビスも、厳密にはねじ(らせん状の溝が彫られているもの)の分類なのです。

 ねじの基本構造として覚えておくべきものとして、「ピッチ」と「リード」があります。図に示すように、互いに隣りあったねじ山の中心線間の距離をピッチ、ねじが軸方向に進む距離をリードといいます。


 リードをL、ピッチをP、条数をnとすると、

L=n×P

の関係があります。条数を多くする(多条ねじ)ことで、少しの回転で早く締め付けることができます。

「ピッチ」と「リード」

ねじのリードとピッチ

 下図に示すように、一般にねじの大きさは雄ねじの外径で表し、「呼び径」といいます。呼び径が大きいほど、強度が強くなります。

「呼び径」(=外径)

ねじの呼び径

 また、ねじ溝の幅がねじ山の幅に等しくなるような仮想的な円筒の直径を「有効径」といい、ねじの強度計算などに用いられます。同じ外径なら、ピッチの大きい方が有効径は小さくなります。




<ひとくちメモ> ねじの材料

ねじの主な材料としては鉄、真ちゅう、ステンレスなどが利用されます。使用環境や強度、耐久性などを考慮して、アルミ、チタン、樹脂製なども使用されています。また、防錆のためにめっきなどの表面処理を施すのが一般的です。



<こんなときどうする> 固着したねじ(小ねじ)を回す

貫通ドライバー(金属製の軸がグリップエンドまで通っているドライバー)のグリップエンドを叩きながら少しずつ回す、潤滑スプレーを浸透させて回す、摩擦増強剤を塗布して固まった後に回す、バーナーやアイロンで温め冷めた後に回すなど、いろいろな方法があります。ほかにもペンチで回す、ドリルで穴をあけて逆タップで回すなどの方法もありますが、安全確保を最優先にして、手軽な方法から試してみましょう。



◆Q&Aで理解度チェック!

Q1 ねじのピッチとは、ねじが軸方向に進む距離のことである
Q2 ねじの材料は、主に鉄、真鍮、ステンレスなどが利用されている

A1 ×:ねじのピッチとは、互いに隣りあったねじ山の中心間の距離のことです。
A2 〇:題意のとおりです。


■福田洋市
◆専門分野:設備保全支援
◆TPM:個別改善、自主保全、計画保全、品質保全、教育訓練、管理間接、安全・衛生・環境

輸送機器メーカーにて製造、保全、安全衛生等の部門で多くの資格を取得しながら経験を積んだ後、工場長として会社統合、工場再編成、生産統合、海外工場支援指導等にあたる。さらに、生産アドバイザーとして生産システム整備や若手人材育成などに携わり、2022年より現職。豊富な実務経験に基づいた、保全技能や改善手法の教育をベースとする人財育成に手腕を発揮している。

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