誤認はダメよ テンケンジャー 連載第9回
ここがポイント
仮基準を本基準に変える
自主保全の第2段階「劣化を測る活動」の第2段階の最後のステップともなるのが、自主保全第5ステップ「自主点検」です。このステップは、真の自主管理体制づくりに踏み出す重要なステップとなります。
清掃給油点検に関する基準書は、すでに自主保全活動の第3ステップで仮基準として作成しました。しかし、その仮基準書はあくまでも“仮”のものであり、第4ステップ・総点検において守るべき項目が増え、内容もレベルアップします。そうした状況を踏まえ、第5ステップ・自主点検では、能率よく確実に維持できる清掃給油点検基準、および自主点検チェック ・ シートを作成・実施します。つまり仮基準の本基準化を進めるのです。
誰もが時間内に確実に行えるように
基準書は、誰もが時間内に確実に行えるような内容でなければなりません。そんな基準書を作成するには、ストップウォッチを使って、「時間内でチェックリストどおりの点検ができるか」、確かめてみることが重要になります。また、そのうえで、すべてのオペレーターが確実にやれるようになるまで、訓練することも必要です。
守りやすく改善する
「どうしても基準が“守りにくい”ために、点検しないときがある」という声がよく聞かれます。精神力だけで頑張るのではなく、サークルで話し合って、「守りやすく改善する」ことが大切です。そのポイントは、「守るべき項目は少なく、守るための周期は長く、守るための時間は短く」することです。
基準書やチェックリストは、自分たち自身が、守りやすいようにつくったものですから、それをさらに守りやすく改善していくのも自分たちの役目であり、常に見直してこそ、本物の基準書に近づけることができます。「基準書は生きものであり、半年も改訂されない基準書があれば、死んでいるも同然」なのです。
結果の管理から原因系の管理へ
自主点検のねらいは、「故障した」「不良が出た」「加工スピードが遅くなった」という、結果の悪さに追われて「後追いの管理」になっている状態から抜け出すことにあります。そのためには、設備の故障や不良の発生に結び付く原因系の条件を管理し、「故障や不良が発生しそうだ」という段階で、それらを防ぐことのできる状態に変えていかなければなりません。
つまり、「結果の管理」から「原因系の管理」に、私たちのやり方を変えていくことがねらいなのです。
とくに、「設備の良い状態を維持している限り、不良は発生しない」という職場を実現するには、「設備精度と製品品質」「作業方法と製品品質」「型・治工具の精度と製品品質」などについて、その因果関係を明らかにしなければなりません。そして、その内容をきっちり基準書に盛り込んでいくことが大切です。