【No.3】ここが自主保全の出発地 千里の道も5Sから
まんが自主保全入門 No.3
前回は、自主保全は7ステップで進めることを説明しました。しかし、TPMを導入し、現場で自主保全活動の第1ステップをスタートさせようとしても、とまどうことも多く出てきます。それは、ルールも知らないでいきなりサッカーの試合を始めるようなものなのです。そこで、自主保全をスムーズに立ち上げるために、導入準備のためのゼロステップがあります。今月はこのゼロステップにおいて、大切な活動のひとつである5S、とくにその中から「整理」「整頓」について、何をしなければならないのか、その効率的な進め方を説明していきます。
→まんがは左から右へ読んでくださいネ。
ここがポイント!
自主保全ゼロステップと5S
自主保全のゼロステップの目的は、TPMをキックオフするまでに全従業員が「TPMとは何か」「ゴール(目標)や進め方をどうするか」について、慎重に検討・討議を重ねて十分に理解し、キックオフと同時に全員が活動を実施できるようにすることです。
通常、3ヵ月~半年の期間で活動します。サークルではその間、自分たちが「なぜTPMを行うのか」「なぜ自主保全活動なのか」など、TPMを行う目的について理解しなければなりません。
また、行動安全基準や5Sの徹底はゼロステップの重要な活動に位置づけられています。
なかでも5S--整理(seiri)・整頓(seiton)・清掃(seisou)・清潔(seiketsu)・躾(shitsuke)
の5つの活動は仕事の基本であり、工場管理の原点の活動です。ここでは、5Sの中でも初期の活動である「整理」「整頓」について、その考え方のポイントを説明していきます。
整理とは“捨てる”ことなり
整理の定義は「必要なモノと不必要なモノを区分し(ケジメをつける)、不必要なモノをなくす」ことです。整理は5Sの中でも、すべての活動に優先します。私たちは、モノの置き方が乱雑なとき、スグに「整理しなさい」と気軽に使っていますが、実はいちばん重要で基本的なのが、この「整理」なのです。整理は整頓より、むしろ難しいといえるかもしれません。
仕事の整理の仕方はいろいろありますが、まず必要度や重要度による層別をすることです。もう少し具体的にいうと、右上の表に示したように必要度合い(必要頻度)が少ないもの、普通のもの、多いものに区分し、置く場所や位置を決めることです。
また、1年に一度も使わないモノや余剰品は思い切って捨てることです。
このように区分けすると、捨てるべきモノや、現場で何をどれだけ保管すればよいかなどの検討ができるのです。
●整頓は能率を考えること
整頓の定義は「必要なときにすぐ使えるよう、正しい置き方やレイアウトを決める」ことです。ここでまず気をつけておきたいのは、「機能的な保管」と「探すの排除」によって、品質や安全も考えた能率的なモノの置き方を追求することと、スッキリした職場にすることです。
一見、スッキリと整頓していながら、必要なときに必要なモノが出せない人がいます。乱雑な部屋や棚をきれいにすることは第三者でもできますが、機能を考えたモノの置き方は本人にしかわからないものです。整理で不要品・不用品を分けたら、ぜひ自分自身で機能的な整頓の実施を心がけましょう。
「必要なときに、必要なモノを、必要な量だけ」もってこられるようにすることが、整頓の究極の姿であるといえます。そのためには、何を、いくつ、誰が、どこへ、いつ、どのようにするかをはっきり決めておくことがポイントになります。